02
気持ち悪い。
そんな感情を抱いて目を覚ました。
目を開いた先に広がっていたのは最悪と言っていい光景だった。
私を凌辱するクラスメイトの姿。
匂宮千闇だった頃はまだ意味を見出だせていた性行為も、虚戯千闇にとってはただの暴力でしかなかった。


「起きたな?虚戯、楽しませろよ」


言葉と同時に始まる律動。
気持ち悪さが増した。
それでも、いいところに当たれば、身体は反応を示す。
それが堪らなく嫌だった。
どうせなら、もう何も感じない方が楽だったなんて、ほんと傑作だよ。
何度も何度も絶頂を迎えるクラスメイトに対して、私は善くもないし、ただただ揺さ振られるだけだった。
私自身は妊娠の心配などないと解っているけど、このクラスメイトや私を組み敷いてきた男子生徒達はもし子供が出来たらどうするつもりなんだろうか。
明らかに遺伝子で犯人がわかってしまうのに。
妊娠しないのだから、私には関係のないことだ。
母の再婚相手がした悪戯のお陰だというのが、解せないけれど。
にしても、気分は最悪だ。
夢は見れなかったし、起きたら好きでもない相手に抱かれてるし、もう本当に殺してしまいたい。
でも、依頼人がいない。
私は"殺し屋"だから、頼まれれば殺すの信念の許に殺すのだ。
石凪だったら、薄野だったなら、、天吹だったなら、こいつを殺せたのに。
生きるべきでない者を、正義の為に、綺麗にする為に。
もしくは、零崎であったなら…。


「気持ち悪い」


意識を保つ事が困難になる。
ぐらぐらと崩れそうなのは、自戒。
依頼人のいない殺戮はしないという匂宮千闇の自戒。


「あぁ…そう、か……」


依頼人ならいるじゃないか。
私自身が私に依頼すればいい。


「いひっ」


零れたのは笑い。
匂宮千闇の嗤い。


「ボクは殺し屋、依頼人は唯一無二」


唱えるは、言い慣れていたのに、虚戯千闇がはじめて口にする匂宮の常套句。
無造作に片手を動作に移す。
あの子の、私が守るのだと誓った子の技。


「一喰い[イーティングワン]」


ぐしゃりと食い荒らしたのは、クラスメイトの頭。
そのまま、身体も食い荒らす。
ぐちゃぐちゃに、グチャグチャに。
形など残してなるものか。


「さよなら、ボクの依頼対象。疲れたや」


服として着ることは出来ないだろうけど、羽織れる位に布の残った服を着て、紅く染まった周りなど関係なく、また目を閉じた。
今度こそ、皆に会えますように。
なんて祈りながら。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -