目の前の鏡に苦笑いしか出てこない。
僕は僕であり、僕でしかないのは確かなのに、僕は"僕"ではなかった。
理澄の兄貴で理澄の家族で、匂宮"寂夢"だったのに、無意識に避けていた鏡は僕が"僕"たると信じていたものを簡単に残虐に残酷に壊した。


「"僕"は、匂宮"寂夢"は、君だったんだね」


鏡に向かって問うた。
鏡には僕が映るだけで答えなど返ってくる筈など有りはしないのに、それでも僕は問い掛けていた。
匂宮"寂夢"がこの世に生まれて10年。
僕は自分が匂宮出夢であることを知った。


「兄貴?どうしたんだね、兄貴」

「理澄」


不思議そうに僕を見る愛しい片割れを見て、僕は笑った。


「何でもねぇよ、理澄」


守る以外の選択肢など知らないし、要らない。
愛する以外の選択肢など知らないし、要らない。
それが僕にとっての理澄だから。
僕の片割れで、僕の代わりに幸せになってくれる存在で、誰よりも守らなければならない存在。
大好きなんて言葉じゃ足りない。
そんな大切で大事な存在。
だから、僕はこの気持ちに蓋をする。
ゴメンね、匂宮出夢。
僕は匂宮"寂夢"だから、君にはなれやしない。
君の様に強さに執着することは理澄の為にしか執着出来ない。
自分の為に動けない。
根本で君と"僕"は違うから。
君は女の子だったけれど、僕は男だから。
正真正銘の男だから。
君になれやしないけれど、そうだね、君の人生を擬えるくらいはしてみようか。


「理澄、好きだぜ」

「うん。あたしも兄貴が大好きなんだね」




過去未来夢現
(理澄は死なない、それが真実)
「アカシックレコード」(c)ARIA
write by 99/2011//






出夢がいずむと打っても変換出来ないのでしゅつむと打つ99です。
しゅつむ君www
寂夢は理澄が居ても自分が出夢だとは気付かなかった模様です。
理澄に言われるがまま、原作出夢の格好してます。
むしろ、10歳で気付いて良かったねって感じ。
出夢は男の子でも女の子でも美味しくモグモグします。
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