兄さん達が大好きだ。
多分、私はこの世で何よりも家賊が好き。
けれども、それは私にとっての家賊が兄さん達だけだから。
生まれてから今までに兄さん達以外の零崎に会ったことはある。
常識さんとかがいい例。
でも、私が兄さんだと家賊だと言うのは、三天王の三人だけ。
会ったことのない両親の代わりをしてくれた双識兄さんに、なんだかんだと面倒を見てくれる軋識兄さん、二人の兄さん達が居ないと必ず傍に居てくれた曲識兄さん。
この三人だけ。
三人が居なくなるなんてことは、あってはならないことで、私にとっての世界の終わりと言っても過言でないことだ。
私。零崎人織が誰よりも愛するのは家賊だから。
例え、"俺"が"兄貴"しか家賊と認めていなかろうが。


「かはは。随分な格好じゃねぇか、"兄貴"」


家賊を守る為なら何だって偽れる。
そう、自分自身でさえ、偽りきってみせる。
本来なら鏡である戯言遣いの真似事をして、伊織ちゃんいや舞織ちゃんの止血をする隙を作りながら、ある種の残忍さを醸しながらも早蕨兄である早蕨刃渡を殺すのだけれども、私はそこまで"いい奴"じゃないから有無を言わさず、私の存在さえ感じる間もなく、早蕨刃渡の鼓動を止めた。


「人識」

「大声出すなよ。出血量増えるぜ?まぁ"俺"に自殺志願を遺す為に死にたいっつぅなら話は別だけどな」


刺青を歪めてニヤニヤと笑う。
そうすれば、私は忽ち"俺"でしかなくなるから。
"俺"は戯言遣いの鏡で殺人鬼で人間失格で汀目俊希で零崎"人識"。


「もうすぐ大将がドクター連れて来るから、後頼むわ」

「人識、君は…」

「"俺"は"俺"の用があっからな。じゃあ《縁》が《合》ったら」


なんて、どこぞの人類最悪の真似をしてみたりするのは"俺"じゃなくて、根底に私がいるから。
軋識兄さんには既に連絡したし、私がここに来ると時を同じくしてドクターこと園樹さんを迎え…いや軋識兄さんの事だから拉致してこちらに向かっている筈だ。
ならば、そろそろ着く。
成り立てで止血しなければダメだとは言え、舞織ちゃんも居るし、双識兄さんも居る。
無傷の軋識兄さんをプラスすれば、こちらは大丈夫だろう。
保険と言っては何だが、根回しはしてある。
私、いや"俺"の人脈はそう狭くない。
いやはや、"原作"で言う"人間試験"が"クビシメロマンチスト"の後で良かったと言うべきだろう。
5月13日の邂逅を既に迎えていたというのが一番のポイント。
鏡と邂逅した"俺"は鏡である戯言遣いに頼み事をした。
それは私が一生をかけて返す借りであり、"俺"が生死をかけて返す借り。


「さぁて、出てこいよ。"俺"が唯一家賊と認めてる"兄貴"に手ぇ出したんだ。きっちり"殺して解して並べて揃えて晒してやんよ"」


意図は既に手中。
どっかの策士じゃないけど、この鬼の前じゃ全ての殺し名呪い名は全席指定ってこと。
本家"人識"より私の曲絃糸のテリトリーは広い。
構えたナイフはただのパフォーマンス。
擬餌に過ぎない。
だから、"私"は宣言しよう。


「早く曲識兄さんの所に行きたいんだよね。かははっ零崎"人織"による零崎の開幕さ」





ひとり、されるくらいなら
(歪めることも厭いはしない)
「哀愁シリアス」(c)ひよこ屋
write by 99/2011/09/15





人識に成り代わるなら、絶対に家賊は助けたいと思う偽善者然としている99です。
私やら"俺"やら読み難いのはご愛嬌…なわけあるかいって感じですよね、すみません。
戯言読むと京都人な私は勝ち組!と思ううましかですが、残念な事に実は戯言は最近になって読みはじめたという。
しかも、戯言はクビキリしか読んでない上に人間は人間試験読んで、人間ノックを読みはじめたところっていう。
知識は全て素敵サイト様に頼りっきりさ←
人識もいーちゃんも好きだけど、断トツで大将が好きな99。
とりあえず、クビシメロマンチストを買うところから始めようか←
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