4 敵か味方か

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拍手のした方を見れば、色素の薄い茶髪の男と暗い紅の髪の男の2人が立っていた。


(不二周助に菊丸英二。随分早いお出ましね)


不安げな表情を作り、雪の後ろに隠れるような仕草をしながら、心で呟いた。


「桃の代わりにお礼を言うよ。ありがとう、柄塚さん」


こちらに近付きながら、ニコリと笑んだのは不二の方だった。
菊丸は笑う不二の後ろで少しばかり怪訝な顔をしている。


「不二先輩に英二先輩」


漏らすように呟いたのは当然ながら桃城だ。
その声を合図にしたように雪とあきが私を庇うように立った。


「何かご用ですか?」


棘のある声音で言い放ったのはあきだった。
私に向いていた不二の視線があきに移る。
後ろの菊丸はまだ私を見ていた。


「高辻さんか。僕達はちょっと柄塚さんに頼み事があるだけだよ」

「マネージャーにという話でしたら、己緒ちゃんの意思関係なくお断りします。私達はもう二度とゆめちゃんみたいに傷付く子を見たくありませんから」

「あれは柄塚が悪いんだにゃ!」


静かに言い放ったあきに、菊丸が食いつく。


「英二、喧嘩しにきた訳じゃないだろ」

「だって、不二」

「僕達は勧誘に来たんだから、怒らせてどうするの?」


菊丸を宥めるように言いくるめた不二の視線が私を捉える。


「それに僕は柄塚さんの意志を聞きたいんだ」


まるで私を試すような物言いに前に立つ2人が一歩前に出ていた。






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