22 見上げた先の曇り空



柄塚ゆめの通夜の次の日、つまり告別式の日、青学には一つの噂が流れていた。
それはここ、3年6組も例外ではない。


「不二ーっ」

「どうしたの?英二」

「大ニュースにゃんだって!」


慌ただしく教室へ入っていった菊丸は窓際の自分の席に座っていた不二に駆け寄った。


「大ニュース?面白そうな響きだね」

「面白そうって…。不二ってやっぱり変わってるにゃ」

「何のことかな?で?何が大ニュースなの?」


クスリと笑った不二に菊丸は嫌な汗が流れたが、気にしないことにした。


「転校生だって」

「へぇ。何組に入るのかな?」

「それは知らにゃいにゃー。でも、二年生だって」


入ってきたら見に行かなきゃ!と、意気込む菊丸に不二はただ微笑みを浮かべた。


「すぐに会えるよ、わざわざ会いに行かなくてもね」

「にゃんか言った?不二」

「何も?それより、英二。もうすぐ先生が来るよ」

「んじゃ、まったねー」


騒がしく自分の席に戻っていった菊丸を一瞥した後、不二が見上げた曇り空からは雨が降り始めていた。





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