14 青空の下、少年の誓い
View:Your Brother
陽の光を避けて貯水槽の影に隠れいた俺に気付くことなく、芥川先輩と滝先輩は会話を繰り広げていた。
「義姉さんに会いたい、ね」
義姉さんも彼らに会いたいだろう。
でも、義姉さんの計画では会うことになるのはだいぶ先の筈だ。
今は邪魔をされるわけにはいかない。
「景吾さんと精市さんが動いてる間に俺は出来る限りの事をしなくちゃな」
精市さんは喋ってみたら良い人だった。
性格が黒い気がするのが玉に瑕というところだろう。
でも、義姉さんの幼馴染みならそれくらいインパクトがないと面白くない。
俺がはじめて会った義姉さんの幼馴染みは景吾さんだったのだから余計かもしれないが。
景吾さんは本当にキャラが濃い。
流石にあれはないと思う。
あの『俺様の美技に酔いな』ってやつは。
いつかあれをやってる間に試合開始を促す審判が現れるとか試合開始しちゃうとかないかな。
精市さんならやりそう。
「ゆめ、義姉さんを恨むなら俺を恨めよ」
義姉さんがゆめの為にしていることは俺の為と言っても間違いない。
ゆめを大事にするのも、俺とゆめの関係が前提にあってこそ。
阿佐ヶ谷はそんなに甘い家じゃない。
義母さんは甘い人だけど。
今でも別れた義姉さんの父親を愛し合ったままという少し可笑しな人。
離婚してもラブラブってどういうことかよくわかんないけど。
義姉さんも苦笑するだけだし。
「早く大人になりたい」
義姉さんの役に立てる大人に。
義姉さんに恩を返したいんだ。
だから、
「己緒さん、俺は何があっても貴女を守るよ」