11 決意
景吾を先に帰し、いつ連絡がきてもいいようにと、己緒は中庭へと移動していた。
久々の再会とはいえ、懐かしい話に華を咲かす気分にもなれなかったというのが、一番の理由かもしれない。
♪♪〜♪♪♪♪〜
某ホラー映画の聞き覚えのある曲が流れ出す。
周りにいた人々はビクリと肩を揺らし、軽く青褪めていたが、己緒は平然と通話ボタンを押した。
「もしもし」
『柳が調べてくれたよ』
「そう」
『やっぱり虐められていたみたいだね、彼女。学校自体は良かったらしいんだけど、レギュラーから虐められていたって。あと、1年の越前、3年の乾は彼女の味方だったようだよ。噂では自殺したことになっているみたいだね』
虐められていた。
その事実に己緒は目眩を感じていた。
軽く瞼を閉じ、その目眩をやり過ごす。
「ありがとう、精ちゃん。味方は2人だけだったのね?」
『あぁ、柳はそう言っていたよ』
己緒の問いかけを不思議に思いながらも、幸村は柳の情報を元に答えを返した。
『己緒、俺はいつだって君の頼みなら動くから』
「考えとくわ」
そう言って、己緒は通話を切った。
景吾の予想が当たってしまったのだ。
「許さない、佐倉愛美」
パシッと書類を指で弾いた。
書類には1人の少女の写真がクリップでとめられていた。