8 疑問



2人になった己緒と景吾は暫く理緒の去った廊下を見つめ、沈黙を保っていた。


「己緒」


沈黙を破ったのは、景吾だった。
静かに己緒は景吾のアイスブルーの瞳に視線を合わせる。
前に会った時よりも背が伸び大人びたように見える幼なじみにふわりと微笑みを浮かべてみせた。


「何故帰ってきたんだ?」

「何故?」


己緒の瞳に、剣呑な光が宿る。


「ゆめに会いに来たのよ」


ゆめと出た名前に、景吾はその端正な顔を歪めた。


「病院(ココ)に来て、考えが変わったわ」

「……………」

「ここまでこの子を傷付けたモノを知りたい」


決意に満ちた視線は、ガラス越しにゆめに向けられていた。


「調べるのか?」

「えぇ」

「協力してやるぜ」


景吾の言葉に、理緒が氷帝で笑ったように、己緒は朗らかに笑った。





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