3 氷帝



音を立てて降る雨に止む気配は全くと言っていい程ない。
屋外型となっているコートが使用できないとわかっていても、彼ら、氷帝男子テニス部のレギュラーメンバー(+α)は部室に集まっていた。
今日は職員会議の都合で、授業が半日しかなく、彼らが部活を楽しみにしていたのは、言うまでもない。


「やまねーな」


窓の外を見てボソッと零したのは宍戸だ。
それが聞こえてしまった鳳は苦笑を浮かべている。


「そういや、理緒は?」

「跡部も見てねぇぜ」

「あの二人はどこ行ってもうたんや?」

「二人して来ないなんて珍しいですね」


問いかけたのは、珍しく起きてはいるものの完全覚醒していないのか、ローテンションな芥川だ。
答えたのは、向日、忍足、日吉である。
4人により発覚したのは、いつも居る筈のメンバーが2人足りていないということだった。


「寂Cー」


雨でしんみりとしていた空気が、2人もの欠員がわかった芥川の呟きにより、拍車がかかった。


ガチャリ


音を立てて、部室の扉が開く。
入ってきた人物を視界に入れると、皆が安堵の溜息を吐いた。


「理緒、おっせぇぜ」

「景吾も遅かったね」


陽気に声をかける向日と滝だったが、入ってきた2人の表情はどこか暗い。
跡部はともかく、いつも明るく氷帝テニス部のマスコットと言われる理緒が暗い表情を見せることは今までにないことで、その場に居た全員が戸惑いを隠せないでいた。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -