電話が鳴った。
開きっ放しの携帯のメインディスプレイには『みつきちゃん』の文字。
珍しい人物からの着信に嫌な予感がした。
「もしもし」
仕事の話かもと、とった電話の電話口は、みつきちゃんにしては珍しくザワザワと煩い。
『慶次?私っ』
どこか追い詰められているかのような雰囲気の漂う声に、懸命に耳をすました。
『これから、小十郎さんのところに行ってくるわ』
「みつきちゃん?いきなりどうしたんだよ?」
矢継ぎ早に紡がれる言葉に不安を覚えて問いかけても、それに対する返事が返ってくることはなかった。
『私ね、慶次の笑顔が好きなの。だから…だからね、笑っていて?』
プツリと、それだけ言って電話はきれた。
俺は唐突に理解した。
もう、みつきちゃんと会って話せることはないんだって。
理解した途端、涙が溢れる。
今はまだ泣かせてよ。
明日にみつきちゃんが好きだって言ってくれた笑顔に戻るからさ…。愛し子よ、ゆりかごで眠れファンタジー「クラシック」(c)ARIAwrite by 99/2010/01/05
⇒To be continued.