みつきが死んだ。

いや、正確には、殺された。

馴染みの警察官から連絡があり、焼香だけでもと、葬式に赴いたが、みつきに懐いていた長曾我部に、追い返された。

質素に行われているみつきの葬式に参列している奴を一人ひとり観察する。

この中に、みつきを殺した奴が居るかもしれなねぇからだ。

そう思って、周りを見渡せば、全員が怪しく感じる。

結局、出席者の殆んどが同業者なのだから、仕方ないと言えば仕方のないことだろう。



「小十郎」



たった一人しか使わない呼び名に振り向いたら、黒い喪服姿の政宗様が、そこに居た。



「みつきが、殺されました…」

「あぁ、真田に聞いた。小十郎、焼香は?」



小さな道を隔てて、みつきの葬式を見ている俺が不審だったのか、政宗様に訊かれた。



「追い返されました。俺の所為だと」

「小十郎…」

「みつきをこの世界に引きずり込んだのは、確かに俺です。ですから、何も言い返せません」



悲痛な表情を浮かべる政宗様を無視して、俺は話し続けた。

みつきの居ない世界など、必要ない。

ただ、傍に置いておきたかっただけだったのに。

それだけだったのに。

いつしか、同じ生業をしていたみつき。

辞めさせれば良かった。

そうすれば、みつきは、死なずにすんだのかもしれない。

俺はただ涙を溢れさせた。

この醜いだけの世界に。






君が居ない世界は何もかも、醜いだけ。





別れの日に何を語ろう
ファンタジー「クラシック」(c)ARIA
write by 99/2010/01/05
⇒To be continued.



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