こたつに蜜柑。

うん、これぞ、日本の冬って感じですね。

現代日本において、こたつ程冬に欲しいと思うものはない…なんて、言い過ぎだろうか。

白い筋の部分を取り終えた蜜柑を手に、隣で寝転がってテレビを見ている政宗を見やれば、素直な弟は起き上がって、私に向かって手を差し出す。

その手の上に剥き終えた蜜柑を乗せた。



「Thanks」

「いえいえ。でも、それ一個だけだよ」

「分かってる」



蜜柑でお腹が膨れるわけないと思いながらも、一応注意しておく。

この後、小十郎さん特製御節と雑煮が待っているのだ。

政宗にとっては食べ慣れた味だけれど、私はまだそんなに食べ慣れたという程ではない。

奥谷の味とは違ったという点が大きい。

奥谷は白味噌仕立ての丸餅でした。

対して伊達の雑煮は俗に言う仙台雑煮というやつで、ハゼでとった出汁の澄まし汁に焼きハゼと焼き角餅。

しかも、上にいくらが乗るんですよね。

はじめて出された時の感想は、豪勢の一言でした。



「甘い」

「それは良かった」

「空宗、なんか浮かれてねぇか?」

「そりゃもう。小十郎さんの料理はしっかりしてるしね。奥谷のおば様の料理も好きだけど、私は伊達の本家で食べる物の方が好きだし」



そこまで言って、隣を見ると、少し拗ねたような表情の政宗が。

何それ、可愛い。



「政宗の料理が食べれるのも伊達の本家だけだしね」

「Coward」



卑怯者って、酷くないですか?政宗。



「お待たせしました」

「あ、そこ座ってくださいね。はい、政宗も盃持って」



私は小十郎さんに、小十郎さんは政宗に、政宗は私に、それぞれの盃に八分まで注いで、掲げる。



「「「明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします」」」




片倉小十郎特製御節と仙台雑煮
(あ、私も政宗も晦日蕎麦担当でした)
write by 99/2011/01/18





まずはリクエストしてくださいました、琥珀サマ、ありがとうございました。
現パロ影竜で正月にまったりするお兄さんと政宗か双竜とのことでしたので、微妙に片倉さん絡み。
影竜兄弟は晦日蕎麦を蕎麦打ちからしました。
なので、正月は片倉さん担当。
コタツですが、筆頭と影竜主は(図形的な意味で)同じ辺に入ってます。
とりあえず、仙台雑煮ネタが出来てある意味満足です。
政宗が成人してるのかどうかは想像にお任せいたします。


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