求めたのは紅い宝玉

長い時が過ぎていた。
アルコバレーノという存在は裏の世界では有名になり、それぞれの所在など知りたいと思わなくても知れるほどだ。
その中で、私はマーモンと名を変え、幻術で姿を変えて、生きる為に、長い時の中で下準備をしてきた。
リボーンとはアルコバレーノになったその日から会っていない。
元々していた占いの方で生計を立て、その中から研究費を見出だし、遂にマモンチェーンの原型を作ることに成功した。
おしゃぶりの反応を消してしまえば、アルコバレーノ同士の所在などわからない。
これで、バイパーという少女が消える手筈は整った。
同時にウ゛ァリアーの状態も探っていた。
研究に随分と長い時間をかけてしまったので、最悪は揺りかごが起こっているのではないかと危惧していたのだけれど、間に合ったどころか、現在原作開始の約11年程前にあたるらしく、ザンザスに関しては一応ウ゛ァリアーに所属しているようではあるけれども、スクアーロ共々はまだマフィア学校に在籍している。


「おい」


いつものように、幻術で姿を変えて路地で占いをしていたら、声をかけられた。
お客か、いちゃもんを付けに来たチンピラ風情かと顔を上げれば、黒の髪にルビィを嵌め込んだようなギラギラと輝く紅い目がこちらを見下ろしていた。
ザンザスだと思った時には、その目に捉えられ、逸らすことが出来なかった。


「占え」

「あ、は、はい」


声が震えた。
カモフラージュで置いている水晶に手を翳すけれど、その手も震えていた。
情けない。
それでも、私の知る彼の未来を良いものにする為に必死に言葉を探した。


「縛られてはいけません。これから、知りたくもない現実を見ることになるでしょう。それでも、感情で動く前にきちんと周りを見て、状況を整理することが大事となりましょう。そうすれば、貴方が望む形とは違うかもしれませんが、貴方は覇者となるでしょう」


紅い目がギラリと光ったのを見て、私は殺されてしまうかもしれないと思ったけれど、真っ直ぐにその目を見ていた。
私の予想に反して、何の衝撃も受けず、ザンザスは少しの間目を伏せ、次に瞼を上げた時にはその目に少しばかりの穏やかさが宿っていた。


「お前の名は?」

「僕はマーモンさ」

「そうか。マーモン、ついてこい」


その時の私は何が何だかわからなかったけれど、ザンザスの中で何かが決定したようで、そのままウ゛ァリアーの屋敷に連れて帰られた。
ウ゛ァリアーに入って、自分と共に居ろと言われるのは、この次の日のことだった。





やはり 出会い は突然なのだ









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