訪れたのは必然的運命

その日はなんだか嫌な予感がしていた。
藍色のローブを身体に纏い、紫がかったベールを頭に被り、正体を隠すようにして街行く人相手に占いをはじめてから、二年が経っていた。
私は24歳になり、リボーンは29歳になっていて、お互いに何も言わないけれど、どちらかが死なない限りこのままずっと一緒なんだと思いはじめていた。
幸せ過ぎて忘れていたのかもしれない。
自分が、いや、自分達がどういう存在なのかを。
手段さえも別々に届いたそれは、私に現実を突き付けるには十分だった。
二人で居る時間が幸せだったからこそ、この現実が辛かった。
世界の為の人柱。
それに私達は選ばれたのだ。
理由はわかる。
今はまだ属性などという言葉は有りはしないけれど、選ばれたのはその属性が高く人柱として十分に利用出来ると判断されたからだろう。
私は霧の、リボーンは晴の、それぞれの属性として。
しかしながら、私が選ばれたことをリボーンは知らない。
騙すようで辛かったけれど、直前まで黙っていることにした。
私もリボーンが選ばれたということを知らないフリをする。
でも、二人で食べる最後の夕飯だけは少し気合いを入れて、リボーンが好きだと言ってくれた私の自信作ばかりを食卓に並べた。


「美味そうだな」

「ありがとう。さぁ召し上がれ」


そう言ってリボーンが食べる姿を見る。
美味いぞって、少しだけ瞼を伏せて笑うリボーンを見て、幸せだと思った。
ずっとこの記憶だけは忘れないでおこうと思う。
どんなにリボーンと離れても、どんなに自分の手が他人の血で汚れても、この幸せな瞬間を忘れなければ生きていける。
この次の日、私は、私達はアルコバレーノとなった。
長い長い永久にも近い、生命の始まりだった。







本当は この手 で守りたかった







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