「なぁ仁王」

「なんじゃ?」

「お前、信じれるか?」


俺達の視線は自然と眠りについた文月に向かっていた。

文月には粗方の説明をさせた。

自分がわかることは全て喋らせたって言ったっていい。

それでわかったのは、文月が未来からきた俺の娘だってこと。


「文月はほんに丸井とそっくりじゃしの」

「なんで文月は未来から来ちまったんだ?」

「未来でなんかあったんじゃなか?」

「何があったっつぅんだよ」

「さぁの?」


フッと笑った仁王にこれ以上聞いても無駄だと気付いた。


「…………さい、ごめ…なさい、まー…ん……」


小さな寝言が聞こえて、俺達は文月を凝視し、耳を澄ます。


「ごめんなさい、まーくん。文月が殺したの。ごめんなさい」


聞こえてきた懺悔。


「仁王」

「のぅ丸井。文月は何を背負っとるんじゃろうな?」


この小さな背中に文月はいっぱいのものを背負って未来から来たのだろう。

それはきっと俺達には想像もつかない沢山のものを。





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