「おい。おいって!」

「ブンちゃん、変なんに絡みなさんな」

「だってよぉ、コイツ、俺と同じ髪の色してんぜ?」


まーくんとブンちゃんの声だ。

でも、なんだろう、ブンちゃんの声、少し高い気がする。


「起きんしゃい」


私を起こすまーくんの声がして、肩を揺すられた。

これは夢?

それとも、現実?

目を開けた私の前には、私の知るまーくんとブンちゃんよりも幼い彼ら。

でも、確かにまーくんとブンちゃんに似ていた。


「まーくん?ブンちゃん?」


とりあえず、大好きな彼らの名前を呼んだ。

だって、これは夢でしょう?


「なんで、お前、俺の名前知ってんだ?」

「ブンちゃんとそっくりじゃし」


なんでって、どうして?

なんで、文月の名前を呼んでくれないの?

もう文月なんて嫌いになってしまったの?

文月が悪い子だから。

ブンちゃんも、まーくんも、離れていってしまうの?


「とりあえず、中入りんしゃい」

「いくら夏ったって、いつまでもここにいるわけに行かねーしな」


導かれて入ったマンションの一室。

そこは私の知らない部屋だった。



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