一
「おい。おいって!」
「ブンちゃん、変なんに絡みなさんな」
「だってよぉ、コイツ、俺と同じ髪の色してんぜ?」
まーくんとブンちゃんの声だ。
でも、なんだろう、ブンちゃんの声、少し高い気がする。
「起きんしゃい」
私を起こすまーくんの声がして、肩を揺すられた。
これは夢?
それとも、現実?
目を開けた私の前には、私の知るまーくんとブンちゃんよりも幼い彼ら。
でも、確かにまーくんとブンちゃんに似ていた。
「まーくん?ブンちゃん?」
とりあえず、大好きな彼らの名前を呼んだ。
だって、これは夢でしょう?
「なんで、お前、俺の名前知ってんだ?」
「ブンちゃんとそっくりじゃし」
なんでって、どうして?
なんで、文月の名前を呼んでくれないの?
もう文月なんて嫌いになってしまったの?
文月が悪い子だから。
ブンちゃんも、まーくんも、離れていってしまうの?
「とりあえず、中入りんしゃい」
「いくら夏ったって、いつまでもここにいるわけに行かねーしな」
導かれて入ったマンションの一室。
そこは私の知らない部屋だった。
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