次の日の部活にも文月は臨時マネとして参加した。

俺達は文月との時間を過ごし、浮かれていた。


「文月?」


仁王が不思議そうに文月の名を呼んだ。

それに振り返れば、怪訝な仁王の顔があった。


「どうした、仁」

「文月っ!」


仁王、と呼ぼうとして、俺は言葉が出なかった。

文月の身体が透けていた。

確かに昨日は触れられたその身体が、透けていた。


「文月…」

「死ぬのかな?未来に帰るのかな?」

「帰るんだよ、お前は!死ぬなんて言うな!!」


俺達の声に気付いて駆け寄ってきた丸井が叫ぶ。

未来に帰るんだ。と、言い聞かせるように。


「ブン太、雅治っ!」

「大丈夫じゃ、お前さんは死んだりせん。未来の俺が救った命じゃ、死んだりしたら許さん」

「文月、忘れんな!俺達はお前の味方だかんな!!」


もうほとんど見えない彼女に丸井と仁王が必死に語りかけていた。

俺達は呆然とその様子を見ているしかできなかった。


ポタッ


一粒の涙がコートに落ちた。

ひとは何故祈り、何故願う。

それは…幸せになりたいからだ。



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