「はよっ柳!」

「あぁ丸井か。それに仁王も。ん…?」


挨拶をされて振り返れば、丸井と仁王、それから見知らぬ少女がいた。

丸井と同じ色の髪と目ではあるのに、少し雰囲気の違う彼女をジィッと見つめる。


「紹介すんぜ!文月つって、俺の従兄妹。夏休み利用して田舎から遊びに来てんだ」

「丸井文月です」

「柳蓮二だ。丸井の従兄妹か、いいデータが取れそうだ」


俺がそう言った瞬間、彼女、文月が軽く笑んだように思う。

思わずとでも言うように、笑んだのだ。


「折角じゃし、部活見せたいんじゃと。丸井くんは」


普段は言わない丸井くんという呼び名で仁王が丸井をからかいの対象としたことがわかる。

つまり、丸井は従兄妹にいいところが見せたいのだろう。

ふむ、少しは強力してやろうか。

精市が入院していない今、弦一郎を抑えるのは俺の役目だろうな。


「おはようございます、皆さん」


柳生の爽やかな挨拶が聞こえたと思えば、丸井は再び文月の紹介をしていた。

この調子だと丸井はあと弦一郎とジャッカル、赤也にも同じことをするつもりだろう。

着替えが遅くなり、練習に遅れることさえなければいいと思うが、心配だ。

いいところを見せたいならば、気を付けてくれるといいのだが。



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