「仁王、何処に行ってたんだい?」


部活の指導があるていう参謀と赤也と別れて、自分の病室に戻ったら、幸村が居った。

その目が笑っとらんで、怖い。


「文月のとこじゃ」

「やめたら?」

「何を」


幸村の目が冷え切っていた。


「丸井の娘でも、アイツは俺達とは違うんだよ」

「何を言うんじゃ」

「アイツの所為で仁王は死にかけた。もう関わるのはやめた方がいい」


ツキンと何かが刺さる。

幸村の冷たい声だけが耳に残った。


「よく考えることだよ。まだ退院出来ないんだろう?また、来る」


そう言って、幸村は帰っていった。


「文月」


口をついて出たのは、他でもないあの子の名前。


「文月、もうすぐお前さんの誕生日じゃ」


約束をした。

事故に遭う前に、文月と。

2人だけの約束。


『まーくん、約束だよ!』


普段は言わん約束の言葉を笑って言った文月の笑顔が浮かんで消えた。

死にかけたと言われようが、それでも、まだ君を想うしか俺にはできんのじゃ。




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