三
わかることが一つだけある。
俺は、文月を守らなきゃなんねぇってこと。
本当に娘かなんてわかんねぇ。
でも、本能が告げてる。
コイツは、文月は、俺の娘なんだって。
「仁王、文月がここにいるうちは…」
「俺達が守ってやらんとあかんの」
仁王が言ったことに驚いた。
無闇やたら他人に踏み込まないのが仁王だ。
なのに、仁王は文月に踏み込んだ。
「コイツは迷子じゃよ」
「迷子?」
「そ。ここはコイツにとって、何かが壊れてしもた世界で、そん中に文月は一人で迷子なんじゃ」
奇妙な例えをする仁王によくわからなかったけど、なんとなく言おうとしてることはわかった。
とにかく、俺達は文月を守ってやろう。
未来から来たこの小さな少女を。
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