わかることが一つだけある。

俺は、文月を守らなきゃなんねぇってこと。

本当に娘かなんてわかんねぇ。

でも、本能が告げてる。

コイツは、文月は、俺の娘なんだって。


「仁王、文月がここにいるうちは…」

「俺達が守ってやらんとあかんの」


仁王が言ったことに驚いた。

無闇やたら他人に踏み込まないのが仁王だ。

なのに、仁王は文月に踏み込んだ。


「コイツは迷子じゃよ」

「迷子?」

「そ。ここはコイツにとって、何かが壊れてしもた世界で、そん中に文月は一人で迷子なんじゃ」


奇妙な例えをする仁王によくわからなかったけど、なんとなく言おうとしてることはわかった。

とにかく、俺達は文月を守ってやろう。

未来から来たこの小さな少女を。




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