鰐に引き取られる現パロ 2011/04/19/17:36(comment) 本編じゃヒロインは高校生設定なんですが、引き取られた当時はまだ小学生という。 最終鰐オチなのにヒロインのご近所だったロー兄ちゃんやペンギン兄さんをでばらしたかったのに、書き出しでは一切出てこなかったp(´⌒`q) 知り合いのパーティーに出席すると家を出た父と母が事故死した。 仕事人間の父だったがたまに休みになれば勉強に始まり料理まで教えてくれた。 対する母は父の仕事上の立場と世間体が第一であり、家庭的とは言い難い人だった。 葬儀の為に駆け付けた親戚達が集まってしている話などわざわざ聞かなくとも解りきっていた。 昔から子供らしくないと言われ続けてきたのだ。 次の春には中学生になる私に解らない筈がない。 まだ未成年である私が誰か大人の保護がなくてはいけないことくらい知っているし、両親の遺産が入るとはいえ大した額でないのが予想出来るような食いぶちが増えるだけの厄介者な私を引き取りたがる親戚などいるわけがないということも理解している。 今日はまだ告別式が終わったばかりなのに、夜には酷い罵り合いが勃発するのだろう。 そんなもの、私には関係ない。 引き取るのが嫌なら、施設でも入れればいいのに、無駄に体裁や世間体を気にするのだから、大人とは困った生き物だと思う。 まぁ世間体を気にするのは自分の母とて同じだったのだから、彼女と血の繋がる親戚だと思うと納得する。 それにしても、と、くだらない話をヒソヒソと続ける大人達から目線を逸らし、自分が今着ている服を見下ろした。 親の見栄の為に入れられた私立の小学校に通う私はその学校の制服を着ている。 無理矢理と言っても過言ではないが、まぁ親の薦めで入った学校ではあったものの、友達や制服にいたっては気に入っていた。 それも今や過去形だ。 だって、私はもうあの学校には通えない。 施設に入るにせよ、親戚に引き取られるにせよ、転校するのは間違いない。 親が死んだことよりも、転校して友達と離れることの方が哀しいと思うのは、薄情な気がした。 「おい」 突如として出来た影に腕を引っ張り上げられた。 なんだ?と思う暇もなく、立ち上がらされた。 呆然と見上げた先、お世辞にも人相か良いとは言い難い黒を纏った男がいた。 この現代社会において、顔面を横断するように真横に伸びる傷など、どうすれば付くのだと言いたい。 「俺と来い」 確認などなく言い放った男が差し出した右手を無意識に握っていた。 誰なのか、どんな人間なのかも知らぬまま、私は男の手を取った。 瞬間に緩やかではあったけれどしっかりと握り返されたことを私は生涯忘れはしないだろう。 小学生最後の秋、私はサー・クロコダイルに引き取られた。 ← back → |