「エリーゼ…ルタス…です……」
「僕はティポだよー!」
「そう、エリーゼとティポね。よろしく」

樹海の中、ケムリダケのシチューを食べながらサリアは言う。
我ながら絶品だと心で微笑みながら。

「えっと、ミラ…さま?お気に召した?」
「うむ、サリアは料理が上手いのだな!」

幸せそうにシチューを運ぶミラにジュードは苦笑していた。

「すみません、サリアさん。ご馳走してもらっちゃって」
「いえいえ。イケメンくんも食べるかい?」
「…ん、貰うわ」
「彼はアルヴィンっていうんです」
「そう。君は罪作りな男って顔してるねえ」
「まーな」
「否定、しないんだ…」

ジュードが呆れている。それよりもジュードは樹海の真ん中で一体何をしているんだとうと、自分の置かれている状況にもっと呆れていた。
でも、エリーゼの言うとおりギクシャクしていた空気は今は無い。それは少しうれしかった。

「おたくさあ…いや、やっぱいいわ」

アルヴィンが口を開きかけてやめる。
サリアは気にしていない様子だったが、なんとなく引っかかった。
敵対心だろうか。

「サリアは、どうしてこんな樹海にいたのだ」

ミラがたずねる。確かにそうだなあ、と思っていると、予想外の答えが返ってきた。

「ケムリダケを採りにね」

アルヴィンがシチューを吹き出した。
サリアは手早く小さい布を取り出して手渡す。

「サリアって…何者…」

ジュードの呟きが宙に舞う。
ケムリダケのためだけに樹海に足を踏み入れるなんて、どこか抜けている。

「大丈夫?イケメンくん」
「、ゴホ…っ、ああ…」
「これ、フィシマージュでしょ。汚すとやだよねえ」
「おう…ありがと、な…っゴホッ」

「さあ、自己紹介も終わったことだ。そろそろ行くか」
「…そう、です…ね」

満腹で満足したのか楽しそうに出発を告げるミラとエリーゼ。
なんだか遠足みたいだ、とジュードは笑った。






(かのじょはお料理上手!)






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