03


天戯弥勒が理子さんの居場所を教えてくれなかったので、まあ、2階にいるんだろう。

そう思って2階に上がろうと階段を上る。あー、もう。なんでこうなっちゃったんだ……。何回目だこのセリフ。とか思ってたら転けた。階段の角が当たって痛い。恥ずかしい。だ、だれも見てないよね?初めて会う人にこんな醜態は見せるわけには……。

「ねーちゃん」

うわああ最悪だ。恥ずかしい!だ、だれ?
ゆっくり後ろを向くと階段下に4、5才の女の子がいた。え、この子もW.I.S.Eなの…?

「ねーちゃんだれ?悪い人?」

「え?…わ、悪い人じゃないわ、天戯弥勒…さんに連れてこられたの…」

「そっか!」

笑顔が眩しい女の子だなぁ。

「…あなたもW.I.S.Eなの?」

「わい…ず?」

「えっーと、理子さんって今2階にいるのかな?」

やっぱり、何もわからずに連れてこられたんだ…。幼女誘拐とか…うわあ。てかこの子も能力使えるのか…?ああ、もう。とりあえず、話のわかる人に会わなければ。

「何言ってるの?へんなやつだなー。リコは私だー」

それを聞いて固まった。天戯弥勒、あいつはこんなちっちゃい子に自分のアジトを案内させようとしてたのか。なに考えてるの。無理でしょ。え、天然?天然なの?素でこの子が案内できると思ったのか。詳しい事はこの子に聞けって、あいつ言ったよな。無理でしょ。

いつの間にか階段を上がってきていた理子ちゃんが私の前で首をかしげる? 

あ、2階に上る最中だった。そして転けたときの四つん這いのような体制のままだ。恥ずかしさがまたこみ上げてきて急いで立った。

「ねーちゃん、名前なんてゆーの?」

「叶野梓よ」

「そっかー!私は八星理子だよ!」

「そう。よろしくね、理子ちゃん」

「うん!」

そんな会話をしながらこれからどうしようかなと考えながら2階につく。今度は転けなかった。よくやった自分。

2階は思いのほか広く、トイレと掃除機などを入れる収納スペースと広いベランダとドアが一つあった。どうやら女性部屋は共同らしい。

私は女性部屋のドアを開けて我が物顔で近くのベッドに座った。

天戯弥勒に案内されている間も誰とも会わなかったのでこのアジト?には今人が全然いないみたいだった。なのである程度人が帰ってくるまでここで待機だ。理子ちゃんとお話してよう。

天戯弥勒?あの人は教えてくれる気がしないので端から探さないわ。




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