「……」



ぐっすり寝てる。
無防備な寝顔に思わず笑みが零れてしまった。
最近遅くまでテスト勉強頑張ってたみたいだし、疲れ溜まってたんだな。
なまえの顔にかかっている髪をそっと除けてやる。



「……んん…」
「!」



起こしてしまったのかと思いきや寝言だったらしい。寝返りを打つと再びすぅすぅと息の音が聞こえた。
ほっとしたのも束の間、彼女の格好に慌ててしまう。
学校から真っ直ぐ俺の家に来てくれたから、なまえは制服のままだ。そのまま寝てしまっているから制服に皺ができちゃうんじゃ……という心配をしている余裕は無い。

(す、スカート!スカートが危ない!)

寝返りの拍子にスカートが乱れてしまい、色々危険なことになっている。
このままでいられるのは俺自身大変なので、急いでタオルケットをかけ隠した。

全く、こっちの身にもなって欲しい。
彼女が無防備に自分のベッドの上で寝てるなんて、これは信用されていると喜んでいいのか意識されていないと嘆くべきか。
さっきまでは寝顔を見てほっこりしていたのに、スカートが乱れただけでこんな気持ちになってしまうなんて。男は単純だ。
そんなことを考えていると、なまえはまた寝返りを打ちこちら側を向いた。
おもむろに頬を撫でると、むにゃむにゃと俺の手に擦り寄ってくる。ああもう、だから。可愛すぎるだろ。



「ま、こと……」



幸せそうに微笑み呟かれた名前。
もう駄目だ。今のでトドメを刺された。
本当はゆっくり寝かせてあげるつもりだったけど、可愛いことするなまえが悪い。
そんな屁理屈をこねてなまえの上に覆い被さる。



「なまえ、なまえ、起きて」



彼女が目を覚まし状況を理解するのは、あと10秒後。



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