「聞いてよマコ!!ハルったら……ハルったら!」
「だから違うって言ってるだろ」
「何が違うのよ!」
「ああもうなまえ落ち着いて!とりあえず何があったんだよ」



ハルを引っ張ってこちらへきたなまえは涙目で激怒していた。
連れて来られた側は呆れた表情をしている。



「ハルったら、私がお風呂入ってる時にお風呂場に侵入してきたの!しまいには服脱いで水着になって湯船に入ってくるし!信じられないでしょ!?セクハラよセクハラ!」
「セクハラじゃない。そこに水があったから入った。それだけだ」
「かっこいいこと言ってるけどやったことは同じでしょ!変態!」
「だから違う」
「違うくない!」



ハルが水を見るとどこでも入ろうとするのはいつものことだけど、ここまで行くとは。そりゃあなまえもこんなに怒るわけだ。
はあ、と溜息をつきハルを見る。



「ハル……それはさすがにまずいって。なまえのこともっと考えてあげないと」
「そうよ、デリカシー無さ過ぎ!私だって年頃の女の子なんだからね」
「……?」
「ちょっとコイツ何言ってんだみたいな顔で首傾げるのやめてくれる!」
「女の子なんてどこにいる?」
「貴方の目の前にいるでしょ、かわいい子が」
「??」
「マコーー!ハルが!ハルが!!」
「よしよし、なまえはちゃんと可愛い女の子だよー」



ハルは昔からなまえに対して苛めっ子気質だし、なまえはなまえでハルに口喧嘩で勝てた試しが無い。結局俺に泣きついてくる。これは小さい頃から変わらない構図だった。



「真琴はなまえを甘やかしすぎだろ、どこが可愛いんだこのじゃじゃ馬」
「ハルがいじめ過ぎなんだよ。今回はハルが悪いんだから、ちゃんとなまえに謝らないと」
「……」
「ハル」
「……悪かった」
「……もうああいうの止めてよね」



なまえのことを泣かせまくっていても、ハルはなまえを気に入っている。だからずっと一緒にいるし、ちょっかいを出すわけで。
好きな子ほど苛めたくなるという、まあ、歪んだ愛情表現ってやつだ。
どれだけ嫌なことをされても、なまえだってハルのいいところをたくさん知っているから嫌いにはならない。最後にはちゃんとハルと仲直りをして笑っている。
そんな2人の間に挟まれるのは大変だけど、2人といるのはすごく楽しいし心地いい。
きっとこの関係は、俺らが大人になったとしても変わらないのだろう。根拠は無いけど、そんな気がしていた。






「マコおおおお!!聞いてよ、ハルが!」
「あれはなまえが悪い」



……まあ、変わらなすぎるというのも困りものだけど。




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