「真琴の背中は大きいね」



本を読んでいる背中に話しかける。真琴がこちらを向く前に背中にぴったりくっついた。私の全てを受け入れてくれるようなそこは至極落ち着く場所だった。



「どうしたんだよ急に。構ってほしいの?」
「んー……別に。本読んでていいよ」



真琴が話す度びりびり振動が伝わってくる。その感覚を楽しみながら、でこぼことした背骨を人差し指でなぞった。



「……っそれやめてよ」
「くすぐったい?気にせず本の続きをどーぞ」
「全く……好きな子にそんなことされて普通でいられるほど、俺は大人じゃないんだけどな」



ぱさ、と本が床に置かれる音がした。
無理に背中から引っぺがされ、名残惜しさを感じる暇無く真琴が正面から抱きしめてくる。



「背中じゃなくて、こっちにくっつくのじゃ駄目?」
「ううん、駄目じゃない」



真琴の声がさっきより近くに聞こえる。柔らかい眼差しは私にだけ向けられている。背中にくっついていた時とは違い私の全てを包みこんでくれる真琴の全てに、どうしようもない愛しさが込み上げてきた。



「じゃあ今度からこっちにくっついて来てよ。背中じゃなまえが見えなくて寂しいから」



その言葉と共に降ってきた口づけは、いつも以上に優しかった。





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