03

「って、勝手に決めちゃったけど…ハルは良かったの?」



後輩3人が去った後、ずっと無口だった幼馴染に問うてみる。
彼は既に昼食を食べ終わり、弁当箱の後片付けにとりかかっていた。




「……最初は、そんなに水が嫌いなら入らなきゃいいと思ってた」
「うん」
「だけど…あいつ自身が向き合いたいって思ってるなら、やってみればいいんじゃないか。迷惑にならなければ何でもいい」
「…そっか」



なんだかんだハルは優しい。
誰よりも水に対する気持ちが強いから、水が苦手だというなまえちゃんに辛辣だと思っていた。でも、ちゃんと彼女の気持ちを汲み取っている。多くを口にしないけど、ハルはハルでなまえちゃんの力になりたいと思ってるのだろう。



「なまえちゃん、早く水が好きになってくれたらいいね」
「……ああ」
「さて、後はあまちゃん先生にも話してこないと」



水の克服とあらば、プールだって使うだろう。それならば一応先生の許可がいるはずだ。
最初はあれだけ気後れしていたのに今はどこか張り切っている、そんな自分が少しおかしくて苦笑してしまった。





prevnext