93うたたね
*でのひば
、
ぱさりともどさりともばさりともいえない音がした。
音のした方を見れば床に落ちて折れ曲がる本が一冊、それに気が付いてない様子のディーノがいた。姿勢は本を読む体制そのものであり、本を持っていたのであろう手は今はなにも持っていなかった。
すぐに拾われるであろう本はいつまで経っても拾われる気配はなく、静かに整った呼吸音だけがする。近寄ってみればそれはディーノのものであって、本を読みながら寝てしまった様だ。
うたたね
(寝顔をみるのは初めてかもしれない)
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