38涙するときあなたを想う。**
*でにょひば
雨が降ると、なんだか胸が苦しくなる。理由なんてないのにどこかで悲しい、苦しいと感じる。
雨の日は嫌いだった。湿気が多いのと身体に晴れた日とは違う別の重みを感じるからだ。
髪の毛はいつもよりまとまりにくく、登下校は傘が必要だ。傘という狭い空間では鞄を塗らさない様にするのが精一杯で、その状態から草食動物を咬み殺すことは容易ではない。
一回咬み殺してしまえば雨なんて関係ないどころか、気にする要素がない。服が濡れても気にしない。
…のは今までの話で、最近は雨の日に咬み殺すのは止めている。前に風邪をこじらせたことがあるからだ。
最近では体調を崩すだけであの人がすごく心配する。やっぱり心配は掛けたくないし、そんなことであの人の仕事の邪魔をしたくない。来ないでいいのにと思うのに、あの人は何かあると必ず並盛まで来てしまうのだ。
でも雨の日が本当に嫌いなのはそんな理由じゃない。
『空は繋がってるからさ、会いたくなったら空をみて待ってて』
『…そんな時は来ないよ』
『絶対?』
『多分ね』
あなたが言った空が見えない。
寂しいなんて口に出来ないから、
会いたいなんて言えないから、
だからあなたを想って空を見るのだ。
雨の日は雲がそれを邪魔するから、嫌いなんだ。
雨ふるる
(こんな時こそ会いたいよ、)
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