19いつも目が合う**

*でにょひば


見回りをすると必ず目が合う人がいる。何をする訳でも何かを言って来る訳でもない。
ただ一瞬目が合って、僕は違和感のない様に視線をそらす。
その人は最近この学校に現れた人間で、異色を身に付けていた。眩しいほどの金色は意識しなくても目に入る。

そして彼は今日もいた。話したことはないけれど声を聞いたことがある。小さな声だったけれど、彼はよく一緒にいる校内でダメツナと呼ばれる草食動物に話しかけていた時に聞こえた声だ。
なんであいつだけ制服違うの? と、確かそんなことを聞いていた気がする。僕はあいつと呼ばれたのが気に食わなくて、一瞬耳に入ったその声が忘れられなかった。
彼とはやっぱり今日も目があった。何かを言いたそうにしているのに何も言ってこない。
何かが言いたいのは分かってて、僕自身も聞きたいことはあった。だけどいつもは他人に興味を示さない僕から話し掛けるのは癪で、今日も知らないふりをして視線をそらそうとした。

「なぁっ」

急に聞こえた声は紛れもなく彼の声だった。一度しか聞いたことがないのに不思議なほどはっきり分かった。


気になるなら声をかけて
(なに?)

初めて声を掛けてくれたことが嬉しくて、僕は自然と緩んだ表情で返事を返していた。もちろんそれは無意識で。


*学パロ
*跳ね馬:高3 恭弥:高2 綱吉:高1


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