レニー、レイニー


雨は元々嫌いだった、だけど今日

もっと嫌いになった。


レイニー、レイニー


季節は梅雨に入り、ニュースは台風に関しての情報が多くなっていた。昨日も一昨日も天気予報は台風接近に関してばかりを報じていた。数日後には直撃、飽きるほどにまるでカウントダウンされるように聞いたそれ。
今日がその日だった。

空は気分までどんよりとさせてしまう程に朝から真っ暗だった。そして風は横に吹き雨は上から下へと落ちるのではなく斜めに降り注いだ。バケツをひっくり返した様な雨、そんな雨に変わったのは今日の朝方からだ。学校に来るまででかなり濡れてしまい、靴の中は当然の様にびしょびしょだ。
しかしそんな理由で学校に来るのをやめる訳もなく、恭弥は今日も応接室にいた。朝から生徒達の話題はこの酷い雨で持ちきりで生徒のほとんどが制服や鞄を濡らして登校した。こんな日に風紀委員はもちろん校門でのチェックなどしていなかった。
多少の雨なら分かるがここまで強い雨が降ると、ずっと外に立っているのは風紀委員の体調に関わりそうだった。

雨のせいで気分は落ち込み濡れたせいで足元が気持ち悪かった。持ってきたタオルで拭き持ってきた替えの靴下に履き替えるとぶるりと身体が震えた。寒気がしてやることがないことに苛々してしまう。いつもなら楽しみな見回りもこんな日は実施できない。

応接室には草壁と恭弥だけでこんな時こそいて欲しいディーノはどこにもいなかった。暗い日だからこそ、空も真っ暗な日だからこそ太陽の様な存在のディーノに会いたかった。しかしディーノは今ここにいない。本当は昨日の便で日本に来るはずだった。
はず、というのは飛行機が欠航になったからだ。日本列島を台風が直撃する、そんな理由でイタリアから飛行機が出なくなったのだ。それを知ったのは今日の朝目覚めてからだ。枕元の携帯は朝から着信を示した光を点滅させていた。
その着信はディーノからのメールで台風で飛行機が駄目になったという内容だったのだ。


それで雨がさらに嫌いになった。


一日が退屈でますますに嫌いになった。


恭弥がどんなに苛々しても嫌いになっても空はやっぱり真っ暗で雨は激しく窓を打ち鳴らしていた。耳障りなほどにザーザーと音を立て校舎内の音をかき消す。応接室の音もかき消すのは同様だった。
授業開始5分前のチャイムが鳴って草壁は教室へ向かった。授業を受けるためだ。恭弥にはその必要はなかったので、そのまま応接室に一人になった。
すると急に雨の音がさらに大きくなった。煩いくらいに静かで煩かった。


また、嫌いになった。


あの人がいないこんな日に、僕はどうしたらいいの。
あなたと僕の空が繋がっていたとしても、こんな空じゃ繋がっているかどうかも確認できない。


携帯を開くと電波が一つ減っていた。そのせいで受信中のメールはなかなか受信されない。いつまでも受信中の画面に恭弥は

また、雨が嫌いになった。


(2011.06.01)


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