エンドバスーカ*♀
※未来のバズーカの続き
恭弥の悪戯に巻き込まれたディーノは現代の雲雀恭弥、自分の知っている恭弥が目の前にいることに酷く安堵した。そう、この自分からは口を開かない静かな恭弥こそがディーノがしる恭弥なのだ。
「もうやんなよ」
お互いに何も口にしないでいると次第に空気が重くなる様な気がして、ディーノは口を開いたのだった。
「…恭弥?」
恭弥はディーノの言ったことになにも言わなかった。不思議に思ったディーノは恭弥うつむいた顔を覗き込む。
そこにはいつもと同じ恭弥の表情があり、どう言いたいのかがわからない。嫌なのか、嫌じゃないのかもわからない。
怒られる様なことをしたとは思っていないため、今こうしてディーノに説教じみたことを言われることにムッとしているのだろうか。
それなら何故俯く?
恭弥の考えはいつだって言ってくれないとわからない。
「恭弥?」
「やだ」
やっと口を開いたかと思うとそれだけを言った。恭弥の発言にディーノは苦笑をしてしまう。
ディーノは、出来ることなら今日みたいなことは起こって欲しくないと思っている。ディーノが未来の恭弥相手にからかわれた様に、恭弥も未来の自分にからかわれたんじゃないか、と考えるとあまりいい気分じゃなかった。
(未来の自分に嫉妬するなんて格好悪いな、俺)
「俺は「あんなあなたやだ」
恭弥は顔をあげてハッキリと言った。
「俺?」
「今の、あなたの方がいい」
少し必死な様子で言うので、ディーノは胸が少し締め付けられる様な気がした。
何故なら恭弥は珍しく素直になったからだ。今の、ということはつまりディーノと同じ様に恭弥も未来の互いに違和感を感じていたのだ。
あまり変わっていないディーノに期待が外れたのは確かにあった。けれど未来のディーノはどこか未来の恭弥を重ねて恭弥を見ていた。それが居心地悪かったのだ。
必死になって素直に言う恭弥が可愛らしくて、ディーノの胸は締め付けられたのだ。
「それは俺もだぜ、恭弥」
にっ、とディーノが笑うと恭弥は安心した様に表情を少しだけ柔らかくしたのだった。
未来は未来、やっぱり今が一番だった。
(2011.04.21)
おわり
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