未来のバズーカ*♀

※衝撃のバズーカの続き


「さ、触んない!」

この恭弥はおかしい絶対おかしい俺の知ってる恭弥じゃない、いや恭弥だけど。
とにかく目の前の人物が恭弥だと言うことが、俺はますます信じられなくなった。

勝手に緊張して伏せた目、異性の、それも恭弥の女性を象徴するものが目に入ったのは仕方のないことだと思う。だけど口にだした訳じゃない。
なのに視線に気が付かれ変態と言われた。言われたのはいい。問題はその後だ。

(触ってみる?)

なんて言ったんだ! 触らないと慌てて答えれば、目の前の恭弥は慌てる俺を見てクスクスと笑いだした。
普段なかなか見せることのない笑顔は、ここに来てから何度も見ている気がする。ただでさえ熱を持った頬はさらに熱を増した。
この熱は恥ずかしさとか、色々だ。うん。

「触らないの?」
「当たり前だろ、」

恭弥は俺の反応を楽しんでいた。相変わらずクスクスと笑顔が絶えない上に、びくついて離れた俺との距離をゆっくり縮めてくる。
視線をわざと反らしたりずらしたりしているのに、それでも恭弥は俺の視界に入ろうとする。

「逃げなくても何もしないよ?」
「逃げてない」
「ふぅーん。じゃあなんで目を反らすのかな」

恭弥はちょっと不機嫌になった。でも多分本当に不機嫌ではないのだと思う。
俺は俺の時間の、この未来らしい恭弥を怒らせたことはないが多分そんな気がしていた。
恭弥は怒る時はまず口に出す。怒って言いたいことを言って、それからムスっとして口をきいてくれなくなるんだ。視線も合わせない。
でも目の前の恭弥は違う。だから多分怒っているフリをしているのだ。

「ディーノ、」
「……」

いつもと立場が逆転していた。何時だって恭弥に迫るのは俺だ、俺だった。だけど今は違う。

すごく変な気分だ。

「こっち向きなよ」
「きょっ」

ぼふん!

恭弥に無理矢理顔を動かされる、そう思った時には最初の様に煙に包まれていた。
一面真っ白になって、それから煙が薄くなって視界が広がって。何もかも最初と同じだった。
髪型を戻せばすぐに恭弥を見つけた。俺の知る恭弥だ。

「きょ、恭弥は恭弥?」
「…意味分かんない」

そうそう、これが俺の知る恭弥だ。表情は基本崩さず、笑顔なんてめったにない。

安心した。

(2011.04.11)

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