もっと!バズーカ *♀
「分かんないって、まぁ恭弥らしいか」
どう? と未来のディーノに聞かれたから、僕は素直に分からないと答えた。
バズーカの存在を聞いて、その事実を確かめたかったのは本当のことだ。ディーノの発言からこのバズーカは十年後の未来と入れ替えることが出来ると知った。
でも十年後のディーノは余り今と変化がなくて、期待外れと言ってしまえば期待外れなのだ。
「恭弥は随分違うなぁ」
一人頭の中で色々と考えていると、ディーノはそう言って僕を上から下までじっくりと見た。なんだか少し恥ずかしかったけど、そんな素振りを見せるとからからわれそうできゅっと拳に力を入れた。
「そうなの、」
ディーノが違う、と言っても僕には具体的な意味が分からなかった。最初に髪を指摘してきたから、もしかしたら未来の僕は長いのかもしれない。
でも想像出来ない。
「もう子供扱いなんて出来ねぇくらい成長してるよ」
「ちょっと!」
未来の僕は子供扱い出来ない、と言うディーノは僕の頭を撫でた。まるでお前はまだ子供だって、言われてる気がした。
すぐにその手を振りほどいたけど、いつもみたいに言い返せなかった。
子供扱いしないで、なんて。それこそ子供っぽい。
「……」
「怒った?」
「別に」
だからムッとするだけにしたけど、すぐにからかうように聞かれて余計に腹が立った。
でもどう返してもこのディーノにはからかわれて終わってしまいそうで、何を言ったらいいのか分からなくなった。
いつもならこうじゃないのに。いつもならちゃんと思ってることを言えるのに。
未来のディーノは同じなのにどこか違ってた。
「そろそろ五分かな」
「五分?」
「そ、五分したらもど」
ぼふん!
話の途中だったのに、最初の時の様にもくもく煙が立ち込めてディーノは消えてしまった。
「は、戻ってきた!」
すぐに煙から現れた現代のディーノはそう言って、周りをキョロキョロ見渡していた。
髪型は僕が知るもので、先程とは違う落ち着きのない様は僕の知ってるディーノだ。
「よかっ、ぎゃあ!」
「大丈夫?」
ディーノは歩こうとしてか自ら転んでた。そう、これでこそ僕の知ってるディーノそのものだ。
なんだか安心出来たから、珍しく大丈夫って聞いてあげた。なのにすごい顔で僕を見てる。
なにこれ。
「どうしたの、」
「きょ、恭弥は恭弥?」
「…意味分かんない」
ディーノはなんか混乱していた。
(2011.03.28)
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