文字修行家さんに40の短文描写のお題

http://cistus.blog4.fc2.com/
65文字以内、モノローグ、理屈理論、抽象を避けて
続きNG個体を沢山

 00. お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。
屑星/FK.I 練習に

 01. 告白
片手に握られた銀の塊。滴る赤。息の上がった呼吸に全ての告白が込められていた。(42)

 02. 嘘
靴箱の中、揃えられた靴の上の封筒を手に取り中をそっと開いた。声を掛けられそっと隠したそれは、恋文ではなく呼び出しだった。(62)

 03. 卒業
桜並木、力一杯踏み込んだペダルをまわす。桜吹雪と一緒に少女の涙が散った。

 04. 旅
駅で一番高い切符を買う。普段通りの足取りで乗り込んだ電車だったが、普段通りに降りることはなかった。

 05. 学ぶ
紙の上を走るペン先は緩いカーブや直線を描く。沢山の絵が集まると、それは文字になり知識になった。

 06. 電車
ガタンゴトンと周期的なリズムを繰り返す。それは今日も同じリズムを刻んでいる。

 07. ペット
まず名前を付けた。次に首輪を与えた。そして鎖で繋いで、その先を片手に握り締めた。

 08. 癖
わずかな束を人差し指と親指で挟み、くるくると巻きつけては解く。長い髪を弄っては離し、離しては弄る。

 09. おとな
堂々と酒を呑み、煙草を吸う。大きな声で生活の愚痴を言うのに精一杯で、互いの目の前の娘息子には目もくれない。

 10. 食事
ご飯は左に、味噌汁は右。中央におかずを、そして手を合わせていただきます。

 11. 本
一枚、また一枚と文字の並んだページを捲る。視線は列の右から左に走って行く。

 12. 夢
目を冷め、ほとんどを忘れてしまう。しかし瞼を閉じれば曖昧に見える光景がある。

 13. 女と女
1人は鏡を片手に髪を結び、1人は携帯片手に指を動かす。向かい合わせに座った意味は、彼女たちにはないのかもしれない。

 14. 手紙
三つ折りのそれを開けば、元気ですか? という決まり切った挨拶。懐かしさに笑みが浮か漏れた。

 15. 信仰
信じているというよりも、安心出来る自己暗示。

 16. 遊び
弾かれた頬と頬を弾いた色の白い掌。男は走り去って行く女の後姿を見つめていた。始まりのない遊びの恋だ。

 17. 初体験
ゆっくりと伸ばした手で、静かに触れた。

 18. 仕事
バラバラの紙をかき集めてはトントン、と揃えて決まった場所に置く。またバラバラの紙をかき集める。

 19. 化粧
日焼けから肌を守り、同時に荒れた肌を覆い隠す。守ると同時に、なりたい自分に変身するのだ。

 20. 怒り
じわじわと狭くなり、縦の溝が出来、皺になる。眉間の幅はもう半分になっていた。

 21. 神秘
一本の光の筋は天空から降りて、深い青の液体に突き刺さり曲がり、そして輝いた。

 22. 噂
あのね、と囁かれた耳元はむず痒く、添えられた手は髪を寄せた。

 23. 彼と彼女
他人同士の二人を繋ぐのは互いの手と、二人の笑顔に込められた見えない想い。

 24. 悲しみ
ペンを握った手は、震えるだけで意思を持たない。思いは瞳から零れ落ちて紙に染みを作った。

 25. 生
教わることなく、声を出し、動き、成長する。そして温かい。

 26. 死
温度は無く、冷たく柔らかさを失い硬くなった。

 27. 芝居
ある時は恋に狂った女を演じ、今日は恋を知った少女を演じる。指先が触れるだけで、苦しくなるのだ。

 28. 体
指先で触れた。骨、筋肉、肌。同じものなのに、そうとは思えないほどに目の前の男は硬い。

 29. 感謝
よれた箱に汚れた猫。吹き付ける雨の中、胴体に巻きつくタオル。温かい大きな手を、猫は舐めた。

 30. イベント
睡魔は訪れず、瞬きを繰り返す。寝返りうち、姿勢を変える。明日を考え、睡魔はまた消える。

 31. やわらかさ
置いた手は静かに沈んだ。

 32. 痛み
気付いた頃には遅く、確認した時にはすでに血が出ていた。捲ったページで切ったのだ。

 33. 好き
息を落ち着かせ、胸に手を当てゆっくりと口にしたすきの二文字。照れた彼に、お礼のキスを貰うのは数秒後。

 34. 今昔(いまむかし)
伸ばした手は、簡単に一番上の段の目当ての本を取った。背伸びはもう必要ない。

 35. 渇き
ネクタイを解き、襟のボタンを外し、第二ボタンまで開けて一気に風を送り込む。口は水分を求め、だらしなく舌を出した。

 36. 浪漫
懐かしい柄の着物に臙脂の袴。足首まで覆うブーツを履いて、再現するのはハイカラさん。

 37. 季節
雪が溶け、花が咲き、木々は緑色を輝かせ、そして黄色や橙に色を変える。雪が降り、季節は廻る。

 38. 別れ
繋いだ手を一本一本離していく。笑顔に浮かんだ涙は、互いに互いの姿を歪ませた。

 39. 欲
あれもこれもと手を伸ばし、皿に持っては平らげた。フォークで刺しては口に運んで、咀嚼しては飲み込んだ。

 40. 贈り物
可愛く巻かれたリボンを切り、綺麗に包まれた包装を破るように中を確かめる。喜ぶ少女と苦笑いの両親。

おわり!難しかった!








第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -