01.あなたとぼくとかみさま

ただ貪欲に強さを求めていた日々の中で、あなたに出会ったのは運命だと心のどこかで思っていた。

初めはいきなり応接室に入ってきたことにも、勝手に家庭教師になったことにも苛立ちを感じていた。また、あなたに勝てない自分にも苛立ちを感じていた。
最近までは咬み殺せない相手なんて誰1人いなくて、僕は自身の力を持て余していたんだ。だから初めはその油断から負けたんだと思っていた。
あまりにも相手になる人がいなかったから、強くなり続けることの意識が欠けてたんだ。自分の力を過信して成長を忘れてたんだ。

そうだと思ったのに、勝手にやってきた家庭教師をいつまで経っても咬み殺せなかった。でもいつの間にかに勝てないことへの苛立ちは、相手がいる闘うことへの楽しさに変わっていた。

だから運命だと思ったんだと思う。





最初、リボーンから話を聞いた時は素直に嬉しかった。教える立場に立てることと、その成長を認められたことにだ。
しかし生徒の性別を聞いて、すぐさま話を引き受けたことに後悔した。

相手が中学生で、まさか女の子だとは思ってもなかったのだ。

中学生と言えど相手は異性。こっちに発展する気がないとしても、相手にその気が起きても可笑しくはなかった。自分の顔にはそれなりに自信はあったし、これまで容姿のおかげでちやほやされた経験もある。
だから初日は気が乗らなかった。単純に面倒なことを引き受けたと後悔した。

同盟ファミリーのために協力することは嫌ではない。むしろ嬉しいことだ。しかもそれはあの厳しかった家庭教師、リボーンの頼みなら尚更だ。
ただ、

相手が悪すぎる。

女の子の修行の相手をしなくちゃならないことにも気が重かったが、教師と生徒以上の感情を持たれないか心配だった。中学生と言えば恋愛事が気になる頃だろう。

あぁ、面倒だ。

そう思って生徒が居ると聞いた部屋のドアを開けた。
その時の衝撃は今でも覚えている。


(こんな、餓鬼の相手、)


俺はなんて最悪な運命が廻って来たもんだと思ったんだ。

[ 1/21 ]

[←] []



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -