12.Re:Re:Re

恭弥が修行中に怪我をした。怪我をしたのに病院に行く必要はないと恭弥は繰り返し、最終的に何故か俺が処置してやることになった。
恭弥の怪我の部位は際どく、本人も嫌がるかと思いロマーリオには部屋を出てもらっていた。そうなると俺は転びやすくなったりするが、包帯くらいなら容易い、そう思っていた。
実際は包帯すらうまく巻なかった。恭弥に対しての妙な緊張感と、巻かれていく包帯に視界と思考の両方がぐるぐると渦を巻くだけだった。

あれから俺は仕事のためにイタリアに戻る必要があり、恭弥の怪我の状態は分からなくなった。


『恭弥、怪我大丈夫か?』

恭弥が怪我をして、ディーノがイタリアに戻ってから、毎日こんなメールが恭弥に届いた。怪我の経過だけはちゃんと返信しろと言われ、恭弥は面倒ながらもそれだけは返信する様にしていた。
最初の日は大丈夫かと問われれば平気と、痛くないかと問われれば平気と。決まった返信にディーノが腹を立てないはずもなく、そんな返信が続くとディーノは恭弥に他の言葉を打たせようとする。
具体的に、分かりやすく等とだ。恭弥はそれに何かを打つのが面倒で、写真を撮って送ったことがあった。椅子に座った上で、スカートを少し捲って自分の脚を。

なかなか返事を返さない恭弥にお決まりの無視か、と思い始めたディーノに届いたメールは衝撃だった。メールタイトルは相変わらずなく、本文は

『あなたの包帯ぐちゃぐちゃ』

しか書いてない。普段はない添付ファイルを開けば、つい最近酷く緊張しながら触れた恭弥の脚。写真を見て思考が止まったのはもちろん、すぐにその時の感覚も思い出した。恭弥は肌が白く見た目以上に柔らかい。触れば女の子だと感じるほどに、それは男の身体とは違う柔らかみを持っていた。
ディーノはスカートを捲ると見える際どい部位と、いつか見えてしまいそうなその中身が気になってしょうがなかった。恋情など関係なくドキドキする状況だったのだ。
ディーノはあの日頭の中で、何度自分は先生だと言い聞かせたか分からない。

そんなあの日を思い出してしまい、恭弥にはもう写真は送るなとすぐに電話した。

あれから数日。メールは今も変わらず続いていて、数は少ないが恭弥はちゃんと返信をする様になった。
ディーノが怪我に関係のないことをメールしてきても、無視することはなくなった。恭弥は普段持ち歩かない携帯を持ち歩いて、怪我を理由に見回りなどの風紀の仕事は委員に任せた。応接室にいることが増えた。
最近は携帯は見える位置に置いてある様になり、返信が気になることもある。
それはディーノも同じだった。



自然に続くメールに、二人の気持ちは僅かに変化し始めていた。



(Re:Re:Re:)

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