短いスカートに恋をして *♀

*ディーノ高3
*恭弥高1


「あなた本当にしつこいね」

的確な返事をせずに、恭弥はうん ざりした様子でため息を漏らして言った。
俺はこの学校でそれなりに名前の知れた存在で、自分で言うのも何だが容姿が評価されいる。そして内面もそこそこ。月に1回は告白に呼び出される、いわゆるモテる人間だ。
そんな俺の告白をもう三回も断っているのが、この目の前にいる雲雀恭弥である。

「俺の何が不満?」
「僕のどこが好きなの」

恭弥はいつもと変わらない言葉を口にする。俺が一回目の告白の時から、一目惚れだと言っているにも関わらず信じる様子がない。自分に自信がないから信じられないのか。それともこの世に一目惚れが存在しないと思っているのか。
そのどちらなのか俺には検討も付かなかった。

「一目惚れだって言っただろ」

だから俺は四回目の説明をする。

***

恭弥を初めて見たのは入学式から数週間経った日の、風紀委員会の校門検査の時だ。どう見てもそっちが不良なんじゃないかと思わせる男子生徒を連れ、校門で身だしなみの検査をしていた。
はじめはその異様な光景に目を惹かれてだ。男子生徒たちをまとめあげ、従える人間に興味がわいた。それが女子生徒だと知ると、一度は目にしてみたくなったのだ。
その時俺に「あなたのそれ、地毛?」と聞いて来たのが恭弥だ。
第一印象は小さい、そして次に思ったことが可愛い。
俺に色目を使ってくる女の子はこれまでにも沢山いたが、可愛いと思ったのは初めてだった。いつもは化粧が濃いとか、香水がきついとか、仕草がきになるとか、胸をあてて来るアピールが気になったり。とにかく相手の欠点から探すのが一番だった。
しかし俺は恭弥に対してそう思うことはなくて、ただ可愛いと思ったのだ。まん丸の撫でやすそうな頭部、そして短いスカート。

「なぁ俺と付き合わない?」

それが俺が地毛かどうかの問いに対する答えだった。続けて「そしたら教えてやるよ」と恭弥の髪の毛に触れた。

「触らないで。それにそんなこと聞いてない」

手を振り払われ、そこで一回目の告白は失敗い終わった。この日から俺はこの雲雀恭弥をどうしても振り向かせたくてしかたがないのだ。

***

「僕のことからかって楽しい?」
「からかう? 俺が真剣に好きだって言ってるだけだろ」

俺が好きだと言うのは、恭弥にとっては不機嫌になることらしい。口調はちょっとずつ棘のあるものに代わり、眉間には皺が一つ。
俺はからかってるつもりはなかった。一目惚れも嘘じゃない。人目見たときから可愛いと思えるのに、一目惚れ以外の理由も見つからない。
あの告白以降も恭弥を可愛いと思うことは何回もあった。校内で姿を見かけた時も可愛いと思うことはあったし、俺の周りにいる女子生徒にはない魅力が恭弥にはある。
年齢に合わないお洒落を気取るより、なにもしてない恭弥の方が好みだった。そのままが恭弥のいいところだ。髪の毛を巻くことも伸ばすこともせず、たまに端がはねているのも可愛い。

「あなたの周りはいつも女子生徒がいっぱいいるじゃない」

じっと、目を見つめられる。

「いるけど、その子達が好きとは言ってないだろ」
「僕よりも綺麗だ」

その言葉は以外だった。他人に興味なさそうな恭弥が、そんなことを思うとは思っていなかった。身なりを飾らないのは興味がないから。興味がないから他人に対してもそうだと思っていた。
でも実際はそうではないらしい。恭弥自身も他人に綺麗だ、と思うことがあるらしい。「それにお洒落だよ」と続けて言われて、それにも同じことを思った。

「綺麗だとしても、好きになるとは限らないだろ」
「どうして」
「さぁ、どうしてかな」

聞かれても俺にも分からなかった。でも今まで誰が近くにいても、恋愛感情の好きには発展しなかった。朝からべらべら喋る女の子っちはよく言えば明るい、元気。悪く言えばうるさかった。
いつも誰かが俺の隣をキープして、腕を絡ませて胸を押し当てられてもなんともなかった。大胆だなーとか、すげーアピールしてきてんなぐらいだ。
それなのに拒否しない=受け入れられてると勘違いする女の子は沢山いた。だから告白は絶えず、俺の隣をキープする女の子が変わる度にその数は増えた。
答えはいつも一つ。友達だと思ってる、の一言だ。俺はべらべら理由を述べたりしない。しつこく聞かれても、友達以上にはなれないと思うで断ってきた。
実際以上になる子は一人もいなかった。

「それならどうして僕のことが好きだなんて言うの」
「恭弥だけなんだよ。初めて見た時から
可愛いって思ったのは」

俺は一歩近づいて、初めて会った日のように髪に触れた。少し屈んで、恭弥の右側の襟足を耳にかける。

「こうやって触れたいと思ったのも、恭弥が初めてなんだぜ?」

耳元で囁くように言うと、手はふりほどかれなかった。少しだけ恭弥に触れたままの指先が熱くなっていく。
恭弥の耳はいつの間にか真っ赤だった。多分今頃は顔も真っ赤にしているんだろう。見えないから勝手に想像して、もう一度あの言葉を言う。
初めて話掛けたあの言葉を。

「俺と付き合わない?」



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学パロディノヒバ♀


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