目映い彼に伸ばした彼女の左手。
彼はそれを大きな手で受け止め、自らの頬に誘う。
羨むほどの綺麗な頬が擦り寄せられた。


じわり。

彼女の右手が異様に火照った。

ふわり。

彼が笑った。

じわり。

彼女の頬も熱を持った。


そういえば彼の手も頬も、熱い。

どくん。
どくん。


どちらの鼓動とも判らずに。
ああ、感じるリズムが心地良い。


「春歌…」

「トキヤ、くん…」


熱も鼓動も声も全て。
ただ、愛していると。

貴女の、貴方の、
全ては自分だけのものだと。





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