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『―――は貴方たちに引き渡す!だから、―――だけは助けて…!』
声が聞こえた気がした。
女性の声。その声に続く聞き覚えのある冷酷な声。
声は聞こえる。だが言葉が聞こえない。
――これは、何だ?
それは記憶だ
――記憶?誰の?
それは……
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意識を取り戻し、ティエンが一番最初に見たものは空だった。
いつも見てきた空と変わらないはずなのにどこか違うような、そんな気がした。
「…目、覚めた?」
声の方に視線を向けるとそこには、要注意人物と言われたテロリスト エミーがいた。
「あ、ヤンチャさん」
寝転んだ状態のまま、ニヤリと笑う。
「ちょっと、変なあだ名つけないでよ!!私はエミーよ!!」
エミーはティエンの顔をまじまじと見つめた後、ハッとして怒鳴る。
「知ってる」
「はぁ?!」
ティエンにはそんなことはどうでもよかった。