双六
ギャーギャーと叫びながらも順番が回り、ダイスロールを始めたドラルクがドラウスと共に進み出した。その後をロナルド、その数マス後をゴルゴナとストラが追いかける展開となっていた。
ロナルドが『語尾にニャンをつける』マスにとまる。バニーのくせにニャンとはなんともシュールな光景である。
「ポール君キャラ定まってなさすぎだね」
「好きでやってんじゃねぇよ!……にゃん…」
しおしおと萎んでいく風船のように声のボリュームが下がっていったロナルドに笑うと、ストラがサイコロを降った。
「おや、6だね」
誰もが初めて止まるマスに足を踏み出す。周りが固唾を飲んで見守る中、ストラは呑気にパネルをオープンした。
「『人体自然発火で一回休み』………」
「ッ!!おい!避けろ!」
ぼうっ、 と足元から燃え上がった炎が、 肩、 腰、 マントへと移って行く。ストラはあっという間に体が炎に包まれた。
「ストラ!大丈夫かね!?うっわ!あっつ!!スナァァ」
「その砂で消火できねえかな??」
「ドラルクを殺す気かポール!!」
一層大きくなったざわつきに呼応するように火は大きくなった。ロナルドが会場で消火器を探していると、文字通り火中の吸血鬼は、ゆらりと影を揺らした。
「ああ、全く。驚いたね」
「!」
「……… ストラ、 大丈夫なのかね」
「うん?心配ないよドラルク。…少しマントが焦げてしまったけれど」
そう言ってちらほらと焦げ付きの見えるストラは笑ってみせた。
「………ったく、吸血鬼ってのはみんなこーなのかよ。」
「ポール君も心配してくれていたね。ありがとう」
「っ………、ドラ公がクソ雑魚ってのがよく分かったわ」
「何を今更当たり前のことを言っているんだロ………ル君!それに一族のものといえど火だるまになったら普通あんなケロッとしてないわ!!お祖父様とストラくらいだからな!」
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