小説 | ナノ

 これが俺の日常です@桃井視点

晴ちゃんが出て行った扉をしばらく見つめる。
落ち込んでいた気持ちが再び戻ってきた。


「はぁー・・・晴ちゃんマネになってくれたら嬉しいのにな」
「桃井」


軽くため息をつき、ちょっとした願望を呟く。
すると後ろのほうから名前を呼ばれた。
誰だろうと振り向いた先には赤司君がいた。


「赤司君!どうしたの?」
「野崎はもう行ったのかと思ってな」
「ついさっき演劇のほうにいったよ」
「そうか。時間把握がしっかりしてるんだな」
「忙しそうだからね・・・晴ちゃんがバスマネになってくれたらいいのにな」


むー、といじけた顔をすると赤司君に笑われた。


「まったくだな」
「有能だからね晴ちゃんは!」
「マネの仕事はなんでもできて、文化部も運動部の仕事も一通り教えられればできるようになる。それも普通以上に・・・これほどすごいやつもいないだろうな」


赤司君の言葉に少し驚く。
やっぱりそうなんだな。
また一つ、晴ちゃんのことを感心する要素が増えたよ。


「赤司君がそういうなんてホントにすごいんだね」
「どういう意味だい?」


学校で知らぬ人はいないだろうと確実に言える存在の赤司君。
驚くほど完璧すぎて怖くなるというのに。
そんな彼がこういうなんて、よほど晴ちゃんはすごいのだろう。


「赤司君に認められてる晴ちゃんは本当にすごい人ってこと!」
「ああ・・・そうかもしれないね」
「晴ちゃん、どこかの部活に入ったりしないのかな?」
「どうだろうな。まぁ、どんな結果になろうと決めるのは野崎さ」
「・・・そうだね」


いろんな部活に引っ張りだこな晴ちゃんだけど、いつか一緒にマネやってほしいなぁ。
なんて不可能に近いことを思ってみたりもした。
たぶん、ありえない未来なんだろうけど。


「桃井、そろそろ再開するぞ」
「はーい!」


赤司君の言葉にハッとする。
こんなこと思っても意味ないのに。
少しむなしくなりながらも練習再開のために動き始めた。



ピーッ

体育館内に練習再開の音が鳴り響いた。






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