◎ これが俺の日常です2
「はー…終わった」
持っていたドリンクの容器を置き、一息つく。
中身が入る前は軽いものもさすがに重くなった。
腕が痛い。
きょろ、と体育館内を見渡す。
あ、いた。
わざわざ探そうとしなくてもピンクは目立つな。
固くなった肩を軽く回しながら桃井に近づく。
「桃井ー」
「あ、晴ちゃん!終わった?」
「うん。あそこでよかったよね?」
運んだ先を指さし聞く。
桃井は俺の指を差したところを見た後、ニコリと笑った。
「あたってるよ!ありがとね、丁度いいタイミングだった!」
「いえいえ」
ピーッと終わりのタイムが鳴る。
緊張感があった体育館内が一気にざわついた。
「みんな!晴ちゃんがドリンク作ってくれたよー!」
ざわついていた体育館に桃井の声が響く。
と思ったら、みんな一気にドリンクがある場所に向かっていった。
「・・・なんだこりゃ」
「いつもこんな感じだよー?晴ちゃんが作るドリンクおいしいって人気で!」
「嬉しいんだか、なんなんだか・・・」
「さすが晴ちゃん!ってことだよ」
「ふーん・・・あ、桃井、俺次のとこ行っていい?」
「えっ!もうそんな時間だった?」
「今6時」
さっきみた時間を教えると桃井はがくりと落ち込んだ。
何故そんな落ち込むのか不思議に思う。
・・・なんとなく謝りたくなるのは俺だけじゃないはず。
「そっかぁ、そんな時間だったか・・・次はどこなの?」
「演劇部。稽古に付き合えって」
「・・・ホントなんでもできるよね晴ちゃんって」
「はは、頼まられるからやってるだけだよ」
「それがすごいんだよ!また今度お手伝いしてくれる?」
自信なさげに桃井がするなんてめったに見られないと思う。
込み上げてくる笑いを収めることができずふっ、と笑ってしまった。
「そんな顔しないで。呼んでくれたらまたくるから、またよろしくね?」
「!うん!」
ニコニコとかわいく笑う桃井はすごく可愛くて、つられて笑顔になる。
ざわついていた体育館も少しは落ち着いたようだ。
「じゃ、おつかれ様!演劇がんばって!」
「おつかれ。桃井もマネの仕事頑張って!」
体育館の扉を開け、廊下を進んでいく。
さぁ演劇部に向かいますか!
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