暖かい日差しが降り注ぐお昼前。こんな天気はゆっくりお昼寝でもしたいものね、なんて甘い私の考えは一瞬にして砕け散った。


「ケインの方が可愛いに決まっている」
「あおばっちの可愛さを知らないからそう言えるんだよ」

なんだ。なんなんだこの光景は。
私(ビビヨンのシー)が所属するパーティーのリーダーであるカルトと、どこかのチームのリーダーだというかなめという青年の言い争い。内容は好きな人の自慢大会と来た。しかもお互いの相手は男。
因みにカルトが推しているのは、私たちのトレーナーのケイン。かなめくんが推しているのはルカリオの青葉くんとやら。

はぁあ、ついつい大きなため息が漏れてしまう。
偶然、この場に居合わせたのが悪かった。“どちらが相手を思っているかを決めてくれ”だなんて頼まれるなんて。
正直どっちでもいい。心底どうでもいい。私が好きなのはお尻だけなんだ。そんな私に審査を求められても困る。


「ケインはな、ああ見えて寂しがり屋なんだ。何時もの俺に対するあの態度は愛情の裏返しだな可愛いケイン愛してる」

ちげぇよ。
心の中で即答する。
ケインは寂しがり屋じゃない。というかカルトが居なかったら心なしか楽そうな顔をしてるわよ。気がつかなかったの?
あとあの態度、素だからね。


「あおばっち何かね、恥ずかしがり屋なんだよ。何時も僕が愛の言葉を囁いたら、顔真っ赤にしながら照れ隠しで全力インファイト打ってくるくらい恥ずかしがりなんだから可愛いあおばっち好き好き大好き」


ちげぇだろ。
心の中で突っ込みをいれる。
かなり美化されてるように聞こえるけども。顔真っ赤ってそれ完全に怒ってるわよ。怒ってるから全力でインファイト打つんでしょ。てゆーかあんたよくそのインファイト受けてるの、やるわね。


なんてものを、かれこれ一時間は続けている。
ハッキリいってもう帰りたい。突っ込む気力もない。こんな延々と自慢話されても、私知らないし。どっちの愛が深いかなんてのも知らないし興味ないし。

そろり、手をあげた。


「あの〜…そろそろ帰りたいんだけど…」
「まだ全部話せてない、ケインの素晴らしさはまだまだある」
「僕だってまだまだあるよ」

私の意見はどうやら無視のようだ。
くそう、また話始めやがった。

諦めてその場に座り込む。これはもう聞いてるふりしてお昼寝しよう。もう聞いてられない。

夢にまでその話が出てくるなんて、そのときは思わなかった。


(昼下がりの自慢大会)

(ケインはな、)
(あおばっちは、)
(こいつらいつまで話す気なのよ………)



潤乃様宅 ウィンディ♂/かなめさん

お借りしました!



昼下がりの自慢大会




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