ジャック | ナノ







夜、誰もが寝静まった真夜中の街道に二つの影が映った。一つは翼のはえた、もう一つは何かに乗ったかのような影。
翼の影が言った。


「本気?」


その問いに、何かに乗った影が力強くうなづいた。


「手遅れになる前に、全部伝える」


やがて二つの影は一軒の家の屋根に降り立った。二階建てのシンプルな外装の家。この家の子供に、二人は用があったのだ。赤い瞳の影が二階の窓を開ける。不法侵入になるが、まぁ仕方ない。その中にするりと音も立てずにもう一つの影が入り込んだ。
影は部屋に入ると躊躇せずにベッドへと向かった。そこではお目当ての少女が小さな寝息をたてている。その少女の額に、影が指を当てた。






「ん………」


息苦しさを覚えて、あたしは目を覚ました。真っ暗な部屋の天井を見て、起き上がろとした、が、それはかなわない。


――なにこれ!?


体が動かなかった。まさか、話に聞く″金縛り″という奴だろうか。
唯一動かせる目で辺りを見回す。と、入り口付近に一つの人影が見えた。誰だあれは。母にしては身長が高いし父にしては細過ぎる。見知らぬ誰かが、あたしの部屋にいた。


「あ、起きたかい?」
「!!」


突然声がして、あたしの目の前に男の人がドアップで映った。叫び声をあげたいけれど
声も出せない。男の人はにこにこと笑ってから顔を遠ざけた。


「危害を加えるつもりはない。騒がず、静かに、俺達の話を聞いてほしい」


入り口付近にいたであろう人影がいつの間にかあたしのベッドのすぐそばにいた。華奢なシルエットだから、少し背の高い女の人かな。いや、声が少し低いから男だ。顔をのぞいてきた男の人が指を鳴らした。それと同時に金縛りが消える。勢いよく起きあがった。これだけは言いたかった。


「不法侵入者!」



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