勝負姉弟01


 私は所謂、勝ち組と呼ばれる部類の高校生だ。
 自分で何を、と思われることも多々ある。しかしそれは数値が示している事実であるから、謙遜しようにも出来ないのだ。
 通知表には毎回最高値が並べられ、生きてきてこの方、かかしの弓矢や赤ちゃんの耳などは見たことがない。勿論池のガチョウや工場の煙突も。
 私は周りの期待には全て応え、優等生を称えられる。私は私を誇らしく思うし、多くの生徒は私を憧れの的にする。いつも人に囲まれ、寂しいとは感じたことがない。
 だから、私は勝ち組だ。――それなのに。

 どうして私は、恥じるべき負け組の生き方に、憧れてなんかいるのだろう。



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