はやく
はやく
はやく




「…ど、どうしたの…?」

「好きじゃ。好いとうよ、お前さんのこと」

「うん、」

「もうちょっとだけ、こうしとってええ?」



小さな身体を抱きしめた腕に力を込めれば、シャンプーの香りなのかそれとも彼女自身の香りなのか、甘い香りがした。求めても求めてもまた愛しさが増して、身体が、心が、もっともっとと叫ぶ。好きという言葉は幾度となく言ってきた。だけどなぜだか愛してるという言葉だけは言えずに、心の奥にしまいこんだまま。伝えられないのは、怖いから?気持ちが重いと思われたら?結局は自分が弱虫なだけなのだ。それでも抱きしめたこの腕を離すことはないと誓えるし、本当のところを言えば、例え彼女の気持ちがどこかへ行ってしまったとしても離せる気は甚だないのだから。



「ね、におーくん」

「んー…なんじゃ」

「なに考えてるの」

「…?お前さんのことに決まっとう」

「ふふ、嘘だ。」

「嘘じゃなかよ」

「におーくんの言いたいこと当てるね」

「…おん」



なんだ?俺はお前のことしか考えてないよ。もう彼女なしじゃダメになるくらいに。彼女の愛が欲しくて、彼女が欲しくて、でも独りよがりの愛はどうしようもなくて、だから、心の中で何回も叫ぶ。5文字の叫びを。そう、愛してるって。



「愛してる」

「…俺、いま…」

「におーくんじゃないよ。わたしが言ったの」

「は?」

「当たった?におーくんが言いたいこと」

「っ…かなわんのう」

「愛してるよ」

「俺もじゃ」

「今度の愛してるはわたしが言いたいことのぶんだからね」


アイライロ


俺だけの君になれ


image song/アイライロ
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