臆病者


テレビの中で動物愛護の精神を語る聖人君子様にわたしはそれまで貪っていた菓子を食べるのをやめた。「私は動物との共存を望む!」「私は動物を愛している!」息巻く聖人様の顔がピカソなんかの抽象画家が描いた奇妙奇天烈、不気味な色をしたおぞましい生き物に見えて胸焼けがしたからだ。動物との共存を望む。吐き気を催すような矛盾だ。共存とはすなわち動物と対等に生きることだ。上下も主従もなく互いの生死に関与しないことだ。果たして犬猫をペットと称し彼らの生死の在り方を飼う飼わないで縛り付ける聖人様は滑稽なことこの上ない。そもそも動物愛護を謳う彼の人らはどうにも気狂いの集まりにしか思えなかった。全ての動物への愛護を掲げながら肌に止まった虫を平気で殺しているのだ。その無意識的な矛盾には狂気を感じずにはいられないだろう。彼らは肌に食い付く蚊を殺す。顔に集る蝿を殺す。家屋に蔓延るゴキブリを、ダニを、己の害と見なしたその全てを、何食わぬ顔で殺すのだ。それらも皆命ある生き物に違いないのに。
「ペットを虐待したり途中で捨てることは許されません!彼らにも命があります!一度飼うと決めたなら最後までその命を守る、生き物を飼うならばその責任を負う覚悟をしっかりとしておかなければ!」
彼らは動物を愛している。それに間違いはないのだろう。ただ、全てではない。犬や猫、動物園に囲われているような愛くるしい生物、又は希少となった種、そういった保護対象の基準を満たしたものに限られる。それ以外は、さて如何に。
ペット、愛玩、飼育、責任。犬や猫など自らが認めた生物のみを愛し、或いは生の自由を奪い、飼育し、好ましく仕付け、愛でる。そこに共存というものはどこにも存在しない。他者の為だと見せかけて結局は全て自分たちのご都合でしかない。これは支配だ。許したものだけの生存を認め、害と見なしたものは排除する。人間の誕生から今に至るまでずっとそうして来ただろう。だからこそこの人間主体の黒ずんだ地球が出来上がっている。
聖人君子様は、綺麗事を仰っているようだ。もしわたしがこの聖人様に前述のことを説いてみたとして、果たして彼の人はわたしを説き伏せるまでの反論をし聖人様のままでいられるだろうか。綺麗事ばかりを並べ立てて嘯いてああも清純を装って。どうせ行き着く前は自分たちの好きなようにしたいのだろう、ならば愛護などと耳触りの良い言葉で包み隠さずいっそ支配だと宣言してしまえば良いのに。回りくどい。つまらない偽善だ。でも人間は人間の醜悪を見たがらない。偽善を好み集る。怖いから、弱虫だから。そう、何もかも全ては弱いが故なのだ。地球上で最も臆病で、面倒な生き物なのだ。
「…なあ、お前さ、一昨日何してた?」
「一昨日?休みだったから家にいたよ?」
「本当か?どこかに出掛けたりとか」
「ううん、してないけど、どうして?」
「…いや、だったらいいんだ。気にしないでくれ」
「ふぅん、そう。…君が良いなら、良いんだけど」
「…あのさ、突然だけど俺たち、同棲しないか」
「え?」
「もう付き合って長いし、その、お前ともっと一緒に居たいんだ」
「…それでわたしを監視下に置こうってのね」
「え?」
「ふふ、ううん?なんでも」



支離滅裂って感じですね。またもや詰めたいこと多すぎて詰め込みすぎてごちゃごちゃになってしまいました。でも消すのもったいないからこちらで供養をば…。
当初の予定ではヒロインちゃんを独占したい支配したい自分好みにしたいんだけどそれ言って嫌われたくないし、と遠回しにしかアッピル出来ない気弱男子と自分を支配したいのわかってるしもっとガツンと言えばいいのにって呆れてる女の子の図を殺伐と遠回しに書きたかったのに遠回しどころか脱線して横転からの大惨事にしかならなかった…。プギャア…ヒロインちゃんがテレビ見ながら不満愚痴ってるだけ…。おっさんかよ…。まあどのキャラに当てるかも決まらなかったですし…どちらにしろボツだったと諦めて次こそ桃色吐息な青春ネタを考えよう…と思います…。

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