前編


私の名前は夏黄文と言う。煌帝国の第八皇女練紅玉姫君の従者にして眷属である。

今現在、世界は平和だ。世界を転覆させようと目論む組織――アルサーメンの大半は金属器の持ち主である王たちによって倒され、残るは残党ばかり。時折騒動が起こるも、ジンに選ばれた王がその土地土地を収めているためにすぐに対処される。国々の関係も、共にひとつの敵を相手に戦ったせいか、驚くほど良好になった。まるで夢のように。現実とは甘くないものだが、今回ばかりは砂糖菓子のように甘かった。たまには悪くないと、個人的には思う。……かと言って、私自身に平和が訪れたかと言えば、まったくもってそんなことはない。修羅場の真っ最中だ。

私たち――そう私たち――を取り囲むのは、祝福を贈る者たちだ。おめでとう、お幸せに、と祝う言葉だけが降り注ぐ。全然おめでたくない。胸の内で反論しながら、笑顔で祝福を受け入れる。

結婚式が終わり、そのまま宴へとなだれ込んだ場は幸福に満ちていた。人々は思い思いに食べ、酒を飲み、時には歌い、踊っては楽しげに過ごしている。

この場で幸福に浸りきれていないのは主役である私たちふたりだろう。ちらり、と隣に座っている女に視線を向けると、ぎこちない笑顔で、祝福を述べる相手に応対している。人が途切れると、短く息を吐き出した。

「……どうしてこんなことに」

それはこちらの台詞である。元はといえばこの女が悪いのだ。

姫君がシンドリア国へ留学し、数週間経った頃の話だった。何を思ったのか、素っ気ない態度だった女が、ある日突然私に優しくなった。思わせぶりな態度を繰り返し、好意があるように見せた。もちろんそんな色仕掛けに引っかかるような私ではない。何か思惑があるに違いない、だが、これは好都合。この国の政務官である彼女に取り入れば、出世の手段として利用出来るかもしれない、そう考えて女の色仕掛けに引っかかった振りをしたのだ。……判断が間違っていたのだろうか?いやいや私は悪くない。確かに国王にふたりの仲を問われ、それはそれはとてもとても仲良くしております、と答えた時の女の顔が心底嫌そうで、すこしばかり調子に乗ってしまった感がないでもないが、私は悪くない。結婚は考えているのか、との問いに「もちろんであります!」と答えたのは失敗だったのかもしれないが。……肯定を示した時の「何言ってんんだ、お前」とでも言いたげな引きつった顔は、それはもう胸の空くような心持ちだった。いや、しかし、女が「こんな奴と仲良く出来る訳ないじゃないですか!」と否定してくれれば良かったのだから、私はそれほど悪くない。

「幼い頃から見てきたお前の花嫁姿を見られるとは思わなかった。ずっと仕事ばかりで、趣味もなければ友達もいない。独り身のまま生涯を終えるのではないかと心配だったんだ」

お前が幸せになるところをはやく見たいものだ、と誰よりも敬愛する王にしみじみと言われた彼女には、全部嘘っぱちであると暴露するのは難しかったのだろう。私もその台詞を聞いた時は、戻る道がないと気づいた。シンドバッド王は、良かった、良かった、と女に対して何度か繰り返した後、私の方を向き「幸せにしてくれるな?」と圧を掛けてきた。さすが七つの金属器の持ち主、その威圧感の前には視線を反らすことも出来なかった。耳には「幸せにしなかったらただじゃおかない」と聞こえた。空耳である。でも、目はそう言っていた。私は、頷く以外にない。……どうやらシンドバッド王は、父親の役割を担っていたらしい。年はそれほど離れていないようであるが、幼い頃に出会い、共に過ごしてきたというからそのせいだろう。幼い頃の年齢差は大きい。

王が立ち去った後で、「なんであんなことをッ!」と女が詰め寄ってきた。私は素直に答える。

「……勢いで」
「馬鹿か!勢いで結婚の話に頷く馬鹿がどこにいる!」
「ここでありますが?」
「……馬鹿というのは認めるんですね?」

女の頬が引きつっている。毎回思うが、こんなにも毎回毎回怒っていて頭の血管が切れないものなのだろうか。心配である。……最初は猫撫で声で嘘くさい言葉しか吐かなかった女であるが、数日しか保たなかった。シンドバッド王に私たちが恋仲であると勘違いされ始めた辺りから、チクチクと薄い膜に包んだ刺々しい言葉を投げつけてくるようになった。ここ最近では、苛々とした様子で直接的に罵倒してくる。その度に胃に痛みが走った。それでも女の困った顔見たさに、私たち仲良しであります!と繰り返してしまう。

「私を馬鹿だとするならば、ジャーファル殿も否定しなかったのでありますから、同じ穴の狢、ではありませんか」
「一緒にするな。……いいですか、後できちんとシンに、結婚なんて考えていないと伝えてください」
「嫌であります」
「……結婚したいんですか?」
「そんな訳ありません。……先ほどのやり取りをした後で、結婚など考えていないと伝えたとします。あなたをもてあそんだのか、と国王の怒りを買うことは必至。ごめんであります。あなたから伝えるのが穏便では?」
「私には、出来ません」
「何故」
「だって、あんな嬉しそうな顔して、私の幸せを望んでくれるシンにそんなこと……」

そう呟くと、頭を抱えて唸り始めた。心がうきうきし始める。人に唾を吐き捨てた女が困っているのは小気味良い。……その楽しみのせいで、このような事態になっている訳だが。

「悲しむという点では、私から伝えても同じことでありましょう」
「いえ、あなたへの怒りで悲しみが吹っ飛ぶかもしれません」

恐ろしいことを言う女である。可愛げのかけらもない。将来こんな女を嫁にする男の顔が見てみたいものだ。

「ともかく私からは伝える意志はありません。……ジャーファル殿、頑張ってください!」

私に出来る飛び切りの笑顔で言い放つと、「他人事じゃねえよ」と吐き捨てるように去った。やはり怖い。あんな女を嫁にしたら最後であります!……と暢気なことを言っていられるのはその日の夜までだった。青ざめた顔で、女が私の部屋へと飛び込んできたのは夕餉を終えた頃であった。

「い、今すぐ私と一緒にシンのところへ行ってください!」

尋常ではない様子だった。その時ばかりは、初めて見る狼狽しきった女の様子を楽しむ気持にはなれなかった。すごく嫌な予感がしたからである。一体何があったのか、と問いかけようとした時、運悪く姫君がやってきた。そろそろ煌帝国から届くであろう、流行りの服について聞きにきたのだろう。ここ数日同じことを繰り返している。荷はまだ届いていない。

「どおしたのぉ?」
「いえっ、大したことではないのです、紅玉姫君。ただ結婚式のことで……」

女は動揺しているようで、思わずぽろりと「結婚式」という単語をこぼしてしまった。姫君の目に、好奇心の色が浮かぶ。

「誰と誰の結婚式なの?」
「わ、私と、夏黄文殿の……」

私が眉間に皺を寄せると同時に、姫君の顔がぱあっと輝いた。

「まあ、そうなの?もう、どうしてそういうこと、ちゃんと教えてくれないの?」

夏黄文ったら!と目を輝かせながら、はしゃいだ声を上げる。

「あっ、違うんです。そうではなくて……、その、私と夏黄文殿の結婚式をどうにかしなくてはならなくて」

……説明が不足している。伝えたいことは理解した。おそらくは王が私とジャーファル殿の結婚式の準備をし始め、それを知ったジャーファル殿が止めようと私を呼びに来たのであろう。

「そうよね、一生に一度のことですものぉ。わたくしにもお手伝い出来ることあるかしら」
「いいえっ、そんな、姫君のお手を煩わせるなんて!」
「いいのよぉ。だって夏黄文はわたくしにとって大事な従者だもの」

姫君はにこにこと楽しそうに笑っている。ジャーファル殿はといえば、あれ?という顔をして、私を見た。どうしてこんなことに?と狼狽える女を落ち着かせるために、口を開く。

「まずは落ち着いてください、ジャーファル殿。……話はどこまで進んでいるのでありますか」
「……結婚式をいつにするのか。それから私以外の八人将に、話が広まっていて」
「そのくらいの人数であれば、いまからでも遅くはありません」

たったの七人だ。まずはふたり揃ってシンドバッド王に説明をし、それから他の者に話を通す。容易いことだ、と頷く私に、ジャーファル殿は絶望したように首を振るった。

「だめです、ピスティとシャルルカンに知られてしまっては……。しかも、今晩は街の方へ飲みに行っています……」

どれだけ口軽いんだ、そのふたり。

「結婚式の日取りが決まるまでは秘密なの?だったら、わたくし誰にも言わないわ」

ふたりの邪魔をしてはいけないわね、と姫君は自室へと戻っていった。ジャーファル殿は、ともかく王に事情を説明しなければ、とそればかりが頭にあるのか、被害が広まっていることに気づいていない。私もどうしてこうなったのか……と痛む頭を押さえるばかりで気づいていなかった。秘密よ、と言い、姫君がお付きの侍女に話したことで煌帝国側の従者たちにも知れ渡り、着実に外堀が埋められていたことに。聞くところによると、ひとりの従者が、シンドリア国の女官に惚れ、前例が出来れば自分にとって都合が良いと判断したらしく、無駄に頑張ってくれたようだった。すぐさま煌帝国へ結婚の報告を出し、私の花婿衣装を送ってくれるよう手配したらしい。私がそれを知った時には、書簡を載せた船は海の上だった。

何も知らない私たちは、何よりもまず先にシンドバッド王の誤解を解かねばならないと揃って王の部屋を訪ねた。見れば王は、忙しそうになにやら書き付けている。

「シン、話があります」
「ちょうど良かった。俺もお前たちに話があったんだ。夏黄文、この国で結婚式を行うのならば、シンドリア方式になってしまうがかまわないか?気になるのであれば、シンドリアと煌帝国の結婚方式を組み合わせようかと思うのだ。せめて花婿衣装だけでも煌帝国から取り寄せてはどうだろう。日取りによっては、俺が魔装してひとっ飛びしてもかまわん」
「そんなことに魔力使うな!」
「……そうか、ではやめておこう」

この王、はしゃぎすぎではなかろうか。良い案だと思ったんだがなあ……と肩を落としている。本気で魔装して煌帝国まで飛ぶつもりだったようだ。そんなことをすれば、神官殿が大喜びで戦いを挑んできて、衣装を調達するどころではないだろうに。

「そんなことより私たちの話を聞いて欲しいのです」
「ああ、もちろんだ。……新居はどうする?子供を考えてるなら広い方が良いか?」

話を聞くと頷く割に、話を聞く様子はなく、勝手に話を進めている。

「ですから!」
「それから、夏黄文にはシンドリアと煌帝国を取り持つ役割を担ってもらおうと思うのだが」
「お任せください、シンドバッド王!不肖ながら、この夏黄文、シンドリア国と煌帝国のために身を粉にして誠心誠意務めさせていただく所存でありますッ!そして、我が妻となるジャーファル殿のことも大切に慈しむことを誓いましょう!」
「はあっ?!」
「そうか、それは……喜ばしいことだ。ジャーファルは多少短気で怒りっぽくはあるが、良く働き、気配りも出来、真面目な奴だ。幸せにしてやって欲しい」
「もちろんであります。私の人生を掛け、ジャーファル殿を幸せにしてみせます」

ね!とジャーファル殿を見れば、ぱくぱくと金魚のように口を開閉するばかり。感激のあまり、言葉が出てこないようだった。

「それでは失礼します、シンドバッド王」

呆然としているジャーファル殿の肩を抱き、やや無理矢理に部屋から退出する。扉を閉めると同時に、足の甲を思い切り踏んづけられた。……痛い。

「なんで、あんなこと」

動揺も露わにジャーファル殿が問いかける。私はにっこりと笑い、素直に言った。

「ジャーファル殿、私は出世のためならば魂を売る覚悟であります」

詳しい内容は聞いていないが、シンドリア国と煌帝国を取り持つ役割という響きには、出世の匂いがする。この役目を真面目にこなし、良い仕事が出来れば、双方の国から好評価を得ることは間違いなし、そんな機会を私が逃す訳がない。つまり目の前の彼女は、私にとって今や幸運の女神なのである。……かなり柄が悪いが。美しくもないし。

「ふざけるな!なんで私があなたの出世のために利用されなければならないんですかッ!」
「ジャーファル殿、先ほどの嬉しそうなシンドバッド王の顔、ご覧になりましたか?心からジャーファル殿の幸福を願い、望んでいる王の笑顔を曇らせることなど、私には到底……。結婚の話を取りやめれば、シンドバッド王はさぞや消沈することでありましょうねえ」

わざとらしく息を吐き出して訴えれば、下唇を噛みしめ、うぐぐと唸っている。ジャーファル殿の弱点はシンドバッド王である。

「落ち着いて考えてみてください、ジャーファル殿。お互い良い感情は持っていない、それは事実であります。ですが、双方の利益が一致するならば、良い選択であるとは思いませんか」
「……私に利益がありません」
「おや、ジャーファル殿は、あなたへの慈愛に満ち溢れた、あのお優しい笑みが価値のないものだとお考えになられるのでありますか?」
「…………」

しばらくの間、眉間に皺を寄せたしかめっ面で思案していたジャーファル殿は、やがて意を決したように私を見つめた。

「……あくまでも、形式だけの夫婦、ですよね?」
「ええ、こちらとしてもその方が好都合であります」
「わかりました。……受け入れます」
「ありがとうございます、ジャーファル殿!」

やったーこれで出世への道筋が増えたー!心の中で小躍りする勢いである。それが数週間前のことだ。……結婚するに至った道のりを思い返すと、私に多大な非があるような気もするが、元はといえばジャーファル殿が色仕掛けを画策したからこその結果であり、元凶は私ではない。それに、いつの間にか外堀は随分と立派なものになっており、打ち崩すには多大な努力を要しただろう。ジャーファル殿は結婚の話を受け入れつつも、式までにどうにか出来ないものか、と考えていたようだった。そんな期待は煌帝国から祝いの品が届いた時に打ち壊された。二つの国を巻き込んでしまってはおとなしく受け入れるしかない。

「これはもう結婚するしかありませんね!」

朗らかに言い放ち、向こう脛を思い切り蹴飛ばされたのは数日前の話だ。出世のためならば痛みぐらい耐えられる。それに最近の趣味は、困っているジャーファル殿を見る、になりつつあるのだ。

私の隣に座る、花嫁の衣装を身に着けたジャーファル殿の目は半分死んでいる。決してざまあみろであります!とは思っていない。

「ジャーファル殿、幸せに満ちた花嫁にため息は相応しくありません。笑顔です、笑顔!」
「……そちらは笑顔がうさんくさいですね」
「ははっ、そんなことはありません。ジャーファル殿のような方を妻として迎えられるのでありますから、幸せに溢れた笑顔になっているはずです」
「そうですか。私も、私も……」

言葉は最後まで告げられず、はあ、とまたため息が落ちた。言い返す気力もないようだ。今回は私の勝ちであります。

「ジャーファル、夏黄文」

シンドバッド王がご機嫌そのものの笑顔で近寄ってきた。手には酒瓶を持っている。酔いのせいか、頬が赤く、足下も覚束ない。

「結婚式は素晴らしいものだったな。……まさかお前の花嫁姿が見られようとは思わなかった。世界が平和になるより難しいことだと思っていたからなあ!」
「あんたはどんだけ私がだめな人間だと思ってるんですか」
「駄目な人間だとは思ってはいないさ。むしろその反対だ。仕事と添い遂げるのではないかと気を揉んでいたんだぞ?」
「……私はそれでもかまいませんでしたけれどね」
「おい、こんなことを言っているぞ」
「ジャーファル殿は素直ではありませんから。照れてしまい、反対のことを言ってしまうのでしょう」

足の甲を踏みつけられる。ぐりぐりと力を込めて踏みつけられ、痛みで頬が引きつった。シンドバッド王は、見えないところでの攻防には気づかず、にこにこと笑っている。酒瓶を差し出され、素直に杯を持ち上げれば、酒が注がれた。 

「あなたがそんなこと……」

ジャーファル殿が酒瓶に手を伸ばすも、すぐに制された。

「今宵の主役に酌をさせる程、俺は無粋な男ではないぞ?」
「ですが」
「いいから。ほら、お前も」

そういうと無理矢理に握らせた杯に酒を注いだ。だが、それを飲むことはなく、杯を卓上に置く。美味い酒なのに飲まないのだろうか、と咽を潤しながら見ていると、視線が合った。

「飲まないのでありますか?」
「……仕事がありますし」

呟くと、宴の会場を眺め回した。食べ物のなくなった皿が片隅の机に何枚か積み重なっている。視線の意味に気づいたシンドバッド王が、呆れた声を上げた。

「花嫁に後片付けをさせる訳がないだろうが」

まったくである。ジャーファル殿は不服そうな顔をし、「でも」と言葉を続けようとしている。

「お前が片付けをし始めたら、俺が手伝ってやろう」
「王であるあなたにそんなことさせる訳ないでしょうが!」
「そう思うなら、今日はおとなしくしていろ。……しょうがない奴だろう?」

呆れを滲ませた笑みを向けるシンドバッド王に、笑顔を返す。

「働き者の嫁は宝であります。さすがに今宵だけは仕事のことなど考えず、人生を共にする伴侶のことだけを考えて欲しいところでありますが」

言っていてぞわぞわと鳥肌が立つ心持ちがする。ジャーファル殿も同じだったらしく、足の甲に乗せていた踵を静かに退かし、わずかに距離を取った。

「良かったなあ、ジャーファル!お前を宝のように思ってくれる伴侶を見つけられて。きっとお前を大切にしてくれるに違いない。……ジャーファル、今まで俺のためにありがとう。お前はどんな時も俺を支え、俺のために働いてきた。だからこそお前には幸せになって欲しい。これからは自分自身のためにも生きてくれ。……ああ、今日は良い日だ。俺も幸せだよ、ジャーファル」

心を込めて言葉を伝えるシンドバッド王に、ジャーファル殿はどんな顔をすれば良いのかわからぬらしく、曖昧な笑顔を浮かべている。シンドバッド王は感極まったのか、俯いて、良かった、嬉しい、と繰り返し、そのうちに涙声になってきた。……これは、完全に愛娘を嫁に出す父親である。

「ちょっ、な、なんで泣くんですかっ!」
「だってお前が幸せになるのかと思うと、嬉しくてなあ……」
「わ、私は今までだって十分に幸せでした!あなたのために働き、この国を支える役目を頂き、務めさせていただいたのです。ですから……」
「そういうお前だからこそだ。ジャーファル、幸せになってくれ」

ぐずぐずと泣き出し始めたシンドバッド王の様子に、ジャーファル殿は慌てている。私は、他人事のように眺めているしかない。

「だから」

シンドバッド王が顔を上げて、私を見た。


  
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