「お前は本当に俺を好いているなあ」
「嫌ですか」
「そんなこと思う訳なかろう。ただ時々、俺を好きではないお前はどんな風だろうと考えるんだ」
「……想像出来ません」
 あまりに真剣に呟かれた言葉に思わず笑みが零れた。
「ずっとこうしていたいよ、ジャーファル」
「ずっと……」
 ジャーファルは俺の言葉を受け取り、
「そうですね。ずっとこうして微睡む時間が存在しているのだとしたら、それはなんて幸福なことでしょう」
 その物言いは切なげな響きがあった。
「なんだ、ケチをつけるかと思ったのに」
「ケチをつけて欲しかったんですか」
「うむ、お前を言いくるめる言葉を考えていたからな」
「組み敷いただけでは足りぬ、と」
「お前と言い合うにも好きなんだ。もちろん組み敷くのも大好きだが」
「私も、好きですよ」
「おお、いやらしいジャーファルくんだ」
 からかうつもりで言った台詞を、ジャーファルは笑って受け止めた。
「……あんたがそうしたんですよ」
 囁くように告げられた言葉と甘い声音にぞくりと震えた。ジャーファルは時々、俺が作り替えたジャーファルの姿を目の前に示す。その度に心の奥底から浮かび上がるのは、優越と甘美な欲望だ。今度はジャーファルの方から口づけてきた。どこか遠慮がちな口づけは、心を穏やかな気持で満たす。ジャーファルが与えてくれる様々な感情をひとつひとつ噛み締めながら、ジャーファルを見つめる。真っすぐに俺を見上げる瞳には慈しみと愛があった。


:今のジャーファルさんがシン様のおかげで作られたっていうのがほんともうすき
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